おばあちゃんが二十歳に!? 映画『怪しい彼女』が泣ける。

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     20代の頃の自分を振り返ると、さまざまな思いが浮かび上がります。きっと誰もがそのときの『キラキラ』した若さを否定はできないでしょう。歳を重ねれば重ねるほど、失ったその輝きは増してきて、遠い目をしてしまうのは仕方のないことなのかもしれません。
     主人公のおばあちゃん、オ・マルスンは、若い頃はオードリー・ヘップバーンも顔負けの別嬪さんで、歌を歌えばカナリヤのごとく人々の心を魅了していましたが、いまやただの毒舌ばあちゃんです。唯一の自慢は、夫に先立たれ、細腕で育て上げたひとり息子。嫁との関係はギクシャクしていますが、戦後の辛い時代、女性として一番輝いていた時代を息子を育て生き抜くことだけに費やしてきたおばあちゃんは、ビクともしません。ある日、おばあちゃんはふと、写真館を見つけます。そこで遺影がわりにと写真を撮ると……気づかぬうちに、二十歳の女の子に戻っていたのでした!
     中盤までは、よくあるシンデレラ的展開ですが、この映画の見所は、クライマックスにグッと凝縮されています。毒舌、猫背、そして図太い態度のおばあちゃんが、可憐な女の子から何故変わっていってしまったのかが、走馬灯のようにスクリーンに流れます。
    若いことは素晴らしいのですが、確実に齢を重ねる毎日を、何のために費やし、命をすり減らしているのか? その意義を、大きな感動の波が教えてくれるはず。涙なしには見られない、そんな映画でした。(Pen編集部)

    『怪しい彼女』

    監督:ファン・ドンヒョク
    出演:シム・ウンギョン
    2014年 韓国映画 2時間5分
    配給:CJ Entertainment Japan
    7月11日(金)からTOHOシネマズ みゆき座ほか全国順次ロードショー
    http://ayakano-movie.com/