人の像をつくっているのは、銃身や弾倉など銃器のパーツ……。
大阪の国立民族学博物館で始まった展覧会『武器をアートに―モザンビークにおける平和構築』で展示されている作品です。
モザンビークは1975年に独立。92年まで約16年間内戦が続きました。内線終結後、政治的に安定し経済も発展しましたが、民間には大量の武器が残されました。
こうした武器を農具などと交換して武装解除を促進、回収された武器でアートをつくろうというプロジェクトが、「TAE『銃を鍬に』」です。展覧会は、このTAEを支援してきた日本のNPO「えひめグローバルネットワーク」が所蔵する作品と、国立民族学博物館が収集した作品で構成されています。
印象深いのは、冒頭に掲載した『いのちの輪だち』のように、無機質な金属にもかかわらず温かな時間が感じられること。作者のフィエル・ドス・サントスさんとクリストヴァオ・カニャヴァート・ケスターさんは、武器を捨てて家族との時間を取り戻した人々を、武器と交換して得た自転車に乗る家族の姿で表現したそうです。
またフィエル・ドス・サントスさんの作品『フルート奏者』は、楽器の調べを楽しみながら吹いていることが伝わります。
「TAE『銃を鍬に』」が、内戦後の平和構築モデルのひとつとして注目されている理由がわかるような気がします。国立民族学博物館・本館2階の「アフリカ展示」では、遺跡などの歴史や現代の人々の暮らしも紹介しています。『Pen』の8/1発売号「いまこそ知りたい、アフリカ」とあわせて、アフリカについて学んでみませんか?(Pen編集部)
企画展『武器をアートに―モザンビークにおける平和構築』
7月11日~11月5日まで
国立民族学博物館 企画展示場B(本館2階)
大阪府吹田市千里万博公園10-1
TEL:06-6876-2151
開館時間:10時~17時(入館は閉館30分前まで)
休館日:水
入場料:一般¥420
www.minpaku.ac.jp
※9/14、9/16、11/3は無料入館日。
※来館者1000万人達成イベント「おかげさまで1000万人!」開催、8月1日~31日の期間は小学生・中学生・高校生および満65歳以上の方は無料。