映画『E.T.』で主人公が愛用したサーマルウェアが、ステイホームに最適な理由
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一1982年に公開されたスティーブン・スピルバーグ監督の映画『E.T.』。地球に取り残された宇宙人と少年の交流を描いたこの作品は、単なるSFの枠を超え、多くの人の心に永く残る名作となった。今回は、この名画を彩る80年代の“アメカジ”の名品について語る。
インナーとしてはもちろんのこと、トップスとしても活躍するサーマルのカットソー。独特の生地の編み方が特徴で、凹凸が空気の層をつくり、保温性を高めている。凹凸が肌への接地を減らしてくれるので肌離れもよく、年間を通して着用できるアイテムだ。
最近でも人気は高く、さまざまなブランドから発売されているが、『E.T.』ではエリオット(ヘンリー・トーマス)がまるでユニフォームのように全編を通して着ている。ネルシャツやスウェットパーカと重ね着したり、夜には部屋着やパジャマ代わりに上下で着用。E.T.を探しに行く時には、夜で寒いからか、サーマルの上からダウンジャケットを合わせて庭の物置を探索する。サーマルの上下に合わせた赤のラインが入った霜降りのソックスも、いかにもアメリカ的なデザインで興味が惹かれる。
そもそも「サーマル」は、「熱」や「温度」を意味する「thermal」が語源だと言われる。もともとはアウトドア、あるいはミリタリー用のアンダーウエアとしてつくられたものと言われているが、サーマルに用いられる生地は主に「ワッフル編み」と「ラッセル編み」の2種類。その違いは凹凸の形状で、前者はワッフルのような格子柄で、エリオットが着ていたのはこのタイプを思われる。後者は蜂の巣状の編み目が施されたもので、「ハニカム編み」とも言われる。
Tシャツタイプは丸首のクルーネックや首元にボタンが付いたヘンリーネックのものが多いが、最近では厚手の編み地を使ってスウェットシャツのように仕立ててアウター的にデザインしたものまで登場している。
「レッドウッド メインヤード」は東京・渋谷で1979年に創業し、30年以上にわたってアメカジを追求する老舗だが、このショップで扱っているサーマルウェアがアメリカのインデラ ミルズの製品。1914年にノースカロライナ州に設立されたアンダーウェアブランドで、中でもサーマルウエアはアメリカでもトップクラスのシェアを誇り、高い品質とリーズナブルなプライスで人気を得ている。しかも長袖Tシャツと「DRAWERS」と呼ばれるタイツが同色・同素材で購入可能なため、セットアップで着ればエリオットと同じスタイルを楽しむことができる。
新型コロナウイルスの中、おうち時間を快適に過ごしたいという人も多いはず。そんな時にぜひとも選んで欲しいアメカジの名品アイテムのひとつだ。
問い合わせ先/レッドウッド メインヤード TEL:03-6277-5130
http://redwoodweb.net