宇宙飛行士の野口聡一から、ブラジルへのメッセージ

  • 文:仁尾帯刀
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SÃO PAULOサンパウロ

宇宙飛行士の野口聡一から、ブラジルへのメッセージ

文:仁尾帯刀

ジャパン・ハウス サンパウロのイベントホームページ。ブラジルでは4月8日が「世界天文学の日」であることから、イベントが企画された。

ブラジルにおける日本文化の発信拠点ジャパン・ハウス サンパウロは、4月5日から1週間にわたり、日本と宇宙との関わりを多角的に紹介するオンラインイベント「ブラジル・日本宇宙ウィーク」を開催した。

イベントの幕開けとして、現在ISS(国際宇宙ステーション)に滞在中の宇宙飛行士、野口聡一からブラジルへのメッセージが贈られた。冒頭にポルトガル語で「おはよう。元気?」と挨拶した録画メッセージでは、ブラジル日系社会のさらなる繁栄への期待やコロナ禍と戦うブラジル国民への激励の言葉などが述べられた。

メッセージの中で野口は、地上で本企画に参加したブラジルのマルコス・ポンテス科学技術イノベーション大臣のことをアミーゴ(友達)と称した。ポンテスは南米初の宇宙飛行士として、2006年にソユーズTMA-8でISSを訪れたブラジルの英雄であり、野口とは1998年にNASAで同時期に訓練を受けた間柄だ。

ポンテスは、宇宙飛行士になりたい若者がブラジルに数多いることを紹介した上で、野口の活動がいかに若者たちへの刺激となっているかを讃え、日本とブラジルの共同宇宙事業のさらなる発展を望んだ。

両国は既に、宇宙を舞台にさまざまな活動を共同で行っている。07年以降、JAXAの人工衛星「だいち」からの映像でブラジルの違法伐採を監視していることや、15年にブラジルの超小型衛生AESP-14を日本の実験棟「きぼう」から放出したことなどがその例だ。

さて、現在ブラジルは新型コロナウイルスによる新規死亡者数が1日あたり4千人を超える日もあり、非常に困難な時期を迎えている。そんな中で野口は宇宙での自らの挑戦を引き合いに出し、「なにかひとつでもいいので、一緒に新しい挑戦をしてください!」とブラジル人にエールを送った。

国境も人類のエゴも存在しない地球外から唱える日本とブラジルの友好関係の継続的発展とパンデミックにおける励ましに、感銘を受けたブラジル人視聴者も少なくなかっただろう。

昨年11月からISSに滞在中の野口。4月28日に帰還予定だ。「日本とブラジルが親密な関係を続けるために、日系社会のさらなる発展に期待します」と述べた。

ブラジル宇宙機関のミシェリ・メーロ(左)とマルコス・ポンテス大臣(右)。ポンテスの指揮のもと、科学技術イノベーション省は現在、100 %国産の新型コロナワクチンの開発を進めている。

ブラジル日本宇宙ウィークでは、JAXAの紹介、宇宙科学技術のディベート、さらに、日本のアニメにおける宇宙についてのレクチャーなどが行われた。

●ジャパン・ハウス サンパウロ
https://www.japanhousesp.com.br