長寿の秘訣は「OSU」!? ファンキーな老人が登場するミツカンの広告がバズってます。
粋なファッションに身を包み、ジャズのリズムに乗りながら軽快にステップ。ファンキーな日本のおじいちゃんおばあちゃんが登場するCMが話題を呼んでいる。彼らがこんなに元気なのは「OSUを飲んでいるから」―― そう、これはミツカン・ユーロ社が仕掛ける「飲むお酢」の広告である。
イギリス人は実は酸っぱいものが大好きだ。イギリス名物フィッシュ&チップスには酸味の強いモルトビネガーをジャバジャバ振りかけ、野菜だけでなく卵までピクルスにする。そんな「酸っぱい物が愛される国・イギリス」に目をつけたのがミツカン・ユーロ社。日本人の長寿の秘訣を「古来からのお酢文化」とし、日本を彷彿とさせるデザインのボトルと「OSU(お酢)」というネーミングで、水で割って飲むタイプの「飲むお酢」を商品化した。
昨年からスーパーに並んでいるのを頻繁に見かけるようになったが、「OSU」が本格的にブレイクしたのは今年に入ってから。チャーミングな3名の90代日本人を採用した広告展開がスタートするとSNSを中心に話題に。現在、近所のスーパーでは入荷してもすぐに売り切れてしまうほどの人気商品だ。
日本人である私は「OSU」と言う商品名から、最初は(「飲むお酢」ではなく)ビネガーの「酢」そのものなのかと思ったが、「OSU」はリンゴ酢に果汁を混ぜたもの。現在「リンゴ果汁入り」「ブルーベリー&ザクロ果汁入り」「レモン果汁&ショウガ入り」の3つの味で展開しており、天然果汁と酢のバランスが絶妙。水で割るとむせずに飲め、程よい甘みも好評。イギリス人の友人は「以前は毎朝スムージーを飲んでいたけど、OSUに変えた。簡単でヘルシーっていいね」と気に入っている様子。母音が並ぶ「OSU」というネーミングはイギリス人にも発音しやすい。この商品により「OSU=飲むお酢」という意味で浸透しつつある。
これって既視感……と思い出したのは日本風カレーが「KATSU CURRY」と呼ばれている現象。カツカレーについては以前Penでの連載でも紹介したが、現在、カツがあってもなくても日本風カレーは「カツカレー」という名称で定着している。言葉も文化もその土地に馴染む姿に変化し、受け入れられていくもの。「OSU」という言葉も「飲むお酢」文化も、これからイギリスに合うかたちで発展していくのだろう。