写真:中庭愉生 文:岡野孝次
品川にオープンした中華酒場の名物は、価格も味わいも本場さながらの北京ダック
北京ダックマニア
品川
本場さながらの北京ダック
料理に合う中国茶サワーが揃う
調理場を眺めるカウンター席あり
日本では高級中華店で、うやうやしく飴色の皮のみを食べるイメージがある北京ダック。しかし本場・中国では大衆食堂でも提供され、小麦香る烤鴨餅(カオヤーピン)にアヒルの身までたっぷりと包むのが習慣だ。2020年10月、品川にオープンした「北京ダックマニア」では、限りなく北京のローカルプライスに近い、2人前2000円台からダックを提供。お通しには余った骨でとったガラスープを添えるなど、その旨味を使い切る。厨房がガラス越しによく見え、ダックを焼く工程が眺められるのも楽しみのひとつだ。
北京ダックといえばつい“焼く”ことに目が行きがちだが、「実は乾かす作業も大切」と店長の井上辰俊さん。ダックは捌かれた後に塩揉みされ、腹に薬味を詰めて軒先に吊るされるが、サーキュレーターを使って体内にも風が送り込まれることで、身と皮の境界がはっきりしてくる。この作業を経た後に表面に水飴を塗るのだが、こちらも塗っては乾かしを繰り返してから、約200℃の釜で焼き上げる。水飴を十分にまとったダックの皮は、パリパリを通り越し、カリカリした食感が秀逸な旨味の塊に。噛み締めると心地いい食感の向こうに、ダックの濃厚な脂が広がる。もも肉のしっとりとした舌触り、むね肉の淡白な食感が好対照で、口に運ぶたび、味覚の波状攻撃が押し寄せる。合わせるなら、店で抽出する中国茶のサワーがおすすめ。ナチュラルワインもグラス500円台で揃うため、酒場感覚で北京ダックが楽しめる気安さも魅力的だ。
東京都港区高輪3-25-23 京急第2ビル2F
TEL:03-3441-1139
営業時間:17時〜22時L.O.
定休日:日