ダニエル・クレイグの“とぼけぶり”が見逃せない、アガサ・クリスティに捧げる王道の謎解き映画。
王道のミステリーはやっぱり楽しい! と思わせてくれる映画が、『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』のライアン・ジョンソン監督から届きました。実は監督のデビュー作は高校を舞台にしたミステリー映画『BRICK ブリック』。ミステリーを愛する彼が、アガサ・クリスティにオマージュを捧げた作品が、この『ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密』なのです。
舞台はニューヨーク郊外の大豪邸。誕生日パーティの翌日に大物ミステリー作家が遺体で発見され、物語が転がり始めます。曲者ぞろいの家族を相手に真相を探るのは、匿名の依頼を受けて屋敷にやって来た名探偵のブノワ・ブラン。調査を進めるうちに、思いがけない真相が明らかになっていきますが……。
密室の豪邸、全員が怪しい容疑者、そして天才的な探偵とワクワクする古典的な要素を完璧に取り揃えて、アリバイや謎の行方が二転三転する脚本も最後まできっちり緻密。それでいて嘘をつくと嘔吐してしまう正直者な看護師を配するなど、緊張感とユーモアが交互に訪れる構成で観る者を飽きさせることがありません。監督自身がアガサ・クリスティの小説を「社会的メッセージ性の強いものではないが、登場人物たちを見ると当時のイギリス社会が見えてくる」と語っていますが、そのエッセンスは本作にも息づいていて、謎解きの面白さの合間に移民や格差の問題がさりげなく織り込まれています。
クリス・エヴァンスが『アベンジャーズ』のキャプテン・アメリカのイメージとは異なる放蕩息子を演じ、次回作の007でボンドを演じるのは最後と言われているダニエル・クレイグは、どこかとぼけているけれど推理は鋭い南部訛り名探偵に。スター俳優たちが楽しそうに演じている空気が、古典的な設定にフレッシュな息吹をもたらしている映画です。
『ナイブズ・アウト 名探偵と刃の館の秘密』
監督/ライアン・ジョンソン
出演/ダニエル・クレイグ、クリス・エバンス、アナ・デ・アルマスほか
2019年 アメリカ映画 2時間11分
1月31日よりTOHOシネマズ 日比谷ほかにて公開中。
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