ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエ
20世紀を代表する名作チェアのひとつ、ルートヴィヒ・ミース・ファン・デル・ローエのバルセロナチェア。モダンデザインのアイコンともいえるこのチェアは、もともと1929年にバルセロナ万博のドイツパビリオンで、当時のスペイン国王アルフォンソ13世夫妻を迎えるために生まれました。
フランク・ロイド・ライト、ル・コルビュジェとともに、近代建築三大巨匠と言われるミース・ファン・デル・ローエ。彼は「less is more(より少ないことは、より豊かである)」「God is in the detail(神は細部に宿る)」という名言を残したことでも知られています。バルセロナチェアのシンプルでエレガントな佇まいは、まさにそれらの言葉を体現する存在です。
このチェアが誕生したのは1929年。ミースが設計し、モダニズム建築の傑作として有名なバルセロナ万博のドイツ館、バルセロナパビリオンのためにデザインしたものでした。クロスしたメタルが脚部から背もたれへと延びる形状は、当時の椅子としてはかなり斬新でセンセーショナルなものだったといいます。その後、ドイツからアメリカへ亡命したミースはアーマー大学(現在のイリノイ工科大学)で教鞭を執り、生徒であったフローレンス・ノルを通じてノル社にバルセロナチェアの製造を依頼します。そこでノル社はミースのこだわりであったX字のフレーム加工にステンレススチールを使い、他社がこれまで実現できなかった高いクオリティをかなえます。このことがきっかけで、ノル社はミースからすべての家具のライセンスを取得することになりました。
こうして誕生した20世紀を代表するマスターピースは多くのデザイナーたちに影響を与え、のちにポール・ケアホルムの「PK22」や、コンスタンチン・グルチッチの「BENCH_B」などが生まれるきっかけともなっています。
●問い合わせ先/ノルジャパン TEL:03-6447-5405 www.knolljapan.com