東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第87回 BMW Z4 M40i / BMW Z4 M40i
気分はシャアとララァのロードスター⁉新型Z 4の超進化は、まるで令和のニュータイプ

大型化したフロントグリルと迫力あるエアロパーツが、新世代のカーデザインを予感させる。
17年ぶりに復活するトヨタ スープラとのコラボで注目のBMWのZ4。プラットフォームやエンジンをシェアすることで、それぞれがより高いレベルの新型車を世に出せるんだから、ドライバーにとっては「ありがたや、ありがたや」と奇跡のコラボに感謝でしょう(笑)。新型Z4に乗れば、その相乗効果の大きさがよくわかるんだな。
現在、新型車ラッシュのBMWにあって、新型Z4はクルマづくりのレベルが次の時代に入ってきたことをはっきりと実感させてくれる。それも正直、あまりのBMWらしさに「逆に、スープラらしさは出るのだろうか?」と感じてしまったほどなんだ。両社の協業開発にあたっては、水平対向4気筒を搭載したポルシェの718シリーズをベンチマークにしていたらしいけど、3Lの直列6気筒を搭載するM40iに関して言えば、むしろ水平対向6気筒の911シリーズに近い。4気筒と6気筒の世界観の違いを、図らずも新型Z4は明らかにしているんだ。
両者を比較するとサイズ感はほぼ一緒で、200kg近くZ4のほうが重いのね。軽量化を追求したピュアスポーツ性という意味で718シリーズがより純粋なのは間違いないんだけど、BMWはオープンスポーツというジャンルで、世界観の差異をまざまざと見せつけてくれるんだ。ワイルドな4気筒ガイと洗練された6気筒紳士って感じで、そもそも生きる世界が違うわけ。テレビアニメ『機動戦士ガンダム』のライバル、アムロ・レイとシャア・アズナブルみたいにね(笑)。
奇跡のコラボが叶えた、次世代のロードスター
その直列6気筒エンジンを「オープンで解放するためのエンターテインメントに仕立てている」のが、新型Z4の魅力のコアなんだ。アクセルを踏み込むと、吸気音を生々しく響かせて回転するターボのタービン音と、直列6気筒の整流された排気音が美しくシンクロし、メカニカルで官能的な音の圧力がドライバーを包み込む。これって間違いなくBMW最新型のベストチューンで、タービン音がトレンドのトラックだとしたら、排気音はクールな官能性とでも言うべき魂のボーカルに他ならない。これは絶対にオープンでしか聴けないサウンドなんだな。
前後5:5の重量バランスと低重心化がもたらすオン・ザ・レールな挙動に、背中全体を包み込むように押してくる理想的なFRの走り。ハンドリングの楽しさが保証されていて、男くさい太いステアリングに275mmの極太のリアタイヤとくれば、誰もが欲しかったZ4そのままでしょう。ロングドライブは得意中の得意になったし、アクセルを踏み込めば、たちまち速度に比例して走りは引き締められ、首都高を駆け抜ける喜びに魂が震えるね。上質な直列6気筒エンジンとのマリアージュっていうか(笑)、足まわりも目覚ましい進化を遂げているわけ。
今回、20mmほどホイールベースが短くなったからか、揺れは相応に感じるんだけど、衝撃やロードノイズはイコライザーでノイズリダクションをかけているように抑えられている。それでいて硬さがまったく気にならないスポーティさは、骨太かつ上質な走りを狙った新型Z4にこそふさわしい。
難を言えば、BMWの小型ロードスターとしてZシリーズを愛してきたオーナーからすると、その大きさには思わず眉をひそめるかも。その点は平成を振り返って、一抹の寂しさを感じるような気分があったかな。
深紅と黒のカラーリングが印象的なフロントビュー。
ふたりだけの世界を演出するホールド感の強いシート。
FR車らしさを物語るロングノーズのサイドビュー。
センターコンソールの各設定はAIスピーカーでも操作できる。
ルーフのソフトトップの開閉は約10秒で完了する。
波のように跳ね上がった特徴的なリアエンド。
●エンジン形式:直列6気筒DOHCツインターボ
●排気量:2997cc
●最高出力:340PS/5000rpm
●駆動方式:FR(フロントエンジン後輪駆動)
●車両価格:¥8,350,000(税込)
問い合わせ先/BMWカスタマー・インタラクション・センター
TEL:0120-269-437
www.bmw.co.jp