東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第73回 BENTLEY CONTINENTAL GT / ベントレー コンチネンタル GT
これぞ一期一会の一台!? 新型コンチネンタル GTは、“アンダーカバー”なスーパークーペでした。
高級グランツアラークーペとして、ベントレーの代名詞にもなったコンチネンタル GTに新型が登場した。サルーンのような巨大なボディに2ドアのグランツアラーは、ジェットボートの速さを競い合うようなアクティブな超富裕層と相性がいいんだけど、3代目となる新型はそのラグジュアリーな魅力を磨き上げてきたって感じ。
そもそもの話、コンチネンタル GTはベントレーのみならず、超高級車市場に大型のグランツアラーという新分野を開拓した先駆者。世界観で言うと、海に面した大邸宅に広大なガレージと、専用のマリーナをもっているフロリダ半島の超富裕層とかかなぁ。映画『マイアミ・バイス』のように「なんならジェットボートを飛ばして、キューバにモヒート飲みに行っちゃう?」ぐらいの感覚で、海が近い富裕層。もちろん、空(自家用ジェット)だって余裕で狙っているぐらいのね。
新ジャンルの先駆者で、世界観は超富裕層!
豪華さで言えば、この3代目は非の打ちどころがない。ダイヤモンドステッチの内側にさらにダイヤモンドを重ねたり、スイッチ類や内装はダイヤモンドやクリスタルを意識させるような艶っぽい仕様。ヘッドライトの内側なんて、水晶の原石に囲まれた洞窟みたいにキラキラと輝いている。
そのゴージャスさは目を惹くわけだけど、本当の凄みはここからで、まずロー&ワイドに構えたクーペスタイルがヤバい。もはやベントレーにしか許されない丸目4灯のスタイリングを、新型に合わせてアレンジしてきたデザインって言うのかな。定番のリアホイールまわりのクラシカルな丸みと、なだらかにテールエンドに落ちていくクーペらしいルーフラインが強調されていて、ベントレーの意図するアンダーステイトメント感(控えめさ)とともに、妙な凄みも出てきている。
それが、たとえば前7対後ろ3のアングルで見ると、全体が黄金律を意図したかのような、完璧なバランスで構成されているのがわかるんだ。すうっと伸びやかに入っているキャラクターラインも、現代的でとても美しい。マイアミ・バイスか、音楽プロデューサーのドクター・ドレーのような「アンダーカバー(覆面捜査)感」って感じだよね。つまり素性を明かさない、謎が多い人物の魅力や物語を想像させる演出に、ひと役買っている。
走りに関して言えば、W型に設計した12気筒エンジンなんだけど、パワーがいらない時は静かにコンフォートで6気筒だけ使ってエレガントに走る、グランツアラーらしい身のこなしが素敵。3層式のエアサスの空気圧をモードによって変えつつ、路面からの入力を受けるのではなくシンコペーションの効いた反発で跳ね返す感じ。
だから硬くもなく、軽快さも失われない。スポーツモードでアクセルを踏み込めば、まず12気筒の目覚めとともに2.3tの車体が瞬時に前方へとワープする。これがいわゆる背中を蹴られるような加速とは違って、シートに身体が押し付けられるような、一瞬息が止まるような加速なんだよね。
急な坂なんかでアクセルを踏み込むと、ツインターボがキュイーンと回転する音が聞こえてくる。ものすごくメカニカルな演出だし、4輪駆動とはいえ、ほぼFR特性なハンドリングとあいまって「これ以上のクーペってある!?」って気になる。これぞ「いっそこのままクルマれたい!」。男子畢生、一期一会の一台ですよ。
●サイズ(全長×全幅×全高):4850×1965×1405mm
●エンジン形式:W型12気筒ツインターボチャージド
●排気量:5950cc
●最高出力:635PS/6000rpm
●駆動方式:アクティブ4WD(フロントエンジン全輪駆動)
●車両価格:¥25,680,000(税込)~
問い合わせ先/ベントレーコール
TEL:0120-97-7797
www.bentleymotors.jp