ウディ・アレンが映画『アニー・ホール』で着こなした、トラッドな愛用品、ツイードジャケット
文:小暮昌弘(LOST & FOUND) 写真:宇田川 淳 スタイリング:井藤成一第1回 ニューヨーク・トラッドを象徴するツイードジャケット
1977年制作の映画『アニー・ホール』。NYを舞台に男女の恋と別れを綴ったラブストーリー。映画の出来も素晴らしいですが、主演したウディ・アレンとダイアン・キートンの着こなしは、いまでもとても参考になります。ウディ・アレンは、いつもツイードジャケットに小柄のチェックシャツ、パンツはプリーツが入ったチノパンを合わせ、黒のセルフレームと相まって、ナードな雰囲気を醸し出しています。ダイアン・キートンの着こなしもセンス抜群です。太めのチノパンにベストを合わせたマニッシュなスタイルで、世界のファッショニスタを魅了しました。映画の中でも、リアリティある彼らの着こなしは、重要な役割を果たしています。今月紹介するのは、まさに1970年代から80年代にかけてのスタイルのお手本ともいえる、ウディ・アレンの愛用した品々です。第1回はニューヨーク・トラッドを象徴するようなツイードのジャケットです。
この映画では1970~80年代にかけてのジャケットスタイルのお手本とも言えるウディ・アレンの着こなしが見物です。しかもほとんどのジャケットで素材にツイードを選んでいます。ピンチェックやヘリンボーンなどのオーセンティックなツイードが中心で、肘に革のエルボーパッチが付いたジャケットは、当時の雰囲気を彷彿とさせ、とても粋です。デザインはいつも同じタイプです。シングルブレストでウエストが程よく絞られ、袖ボタンも4つと、アメリカントラッドに英国調をミックスしたスタイルです。裾もサイドベンツで、ジャケットのラペルはいまの時代に比べるとずいぶん太くデザインされています。この映画ではウディ・アレンもダイアン・キートンも、当時ニューヨークで注目を集めていたデザイナー、ラルフ・ローレンの服を多く着ていたと伝えられていますが、ウディ・アレンが着用していたのも、おそらくラルフ・ローレンがデザインしたジャケットではないでしょうか。まさに当時のニューヨーク・トラッドのジャケットスタイルが堪能できます。
ウディ・アレンがこのジャケットにいつも合わせているのが、小柄のタータンチェックのシャツです。ネクタイを締めているときもありますが、ほとんどがノータイで、チェックのシャツの中にいつもクルーネックのカラーTシャツを重ね着しているところは、ウディ・アレン流とも言えるかもしれません。
問い合わせ先/ラルフ ローレン:TEL.0120-3274-20