細やかに強力に焼き上げる、小さなプレート

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    青野 豊・写真photographs by Yutaka Aono

    細やかに強力に焼き上げる、小さなプレート

    火力が強く次々と食材を焼けるので、コンパクトなサイズ(42×23㎝)でも十分。¥9,720

    レコルトといえば〝おひとり様家電〞で知られており、2010年に発売されたポップなカラーの「ソロブレンダーシリーズ」は累計90万台のヒットを飛ばしている。母体となるウィナーズ社が設立されてから、今年で25周年。昨秋に発売された「ホームバーベキュー」は大きさこそコンパクトだが、これまでのラインアップとは一味違った骨太な製品力をもっている。

    なにより素晴らしいのは火力の強さだ。炭火を使ったバーベキューコンロと同じような焼き加減を再現すべく、最大700℃まで達するヒーターを採用しており、プレートの温度は平均で250℃、ピーク時には約300℃まで達する。そのため温度復帰力が高く、冷えた食材を載せても常に高温を維持して焼くことができる。安全のためにサーモスタット機能が働くが、中央部でなくプレート全体の温度を見る仕組みになっているので、設定温度よりも低く感じるというような不満がない。底部に水を注いで使う仕様で、本体そのものは熱くなりにくいのもいい。

    ホームバーベキューという名にふさわしく、クレープや炒めものに便利なフラットプレートに加え、凹凸の波形をしたバーベキュープレートを付属していて、これがまた使い勝手に優れる。6つのスリットが設けられていて、肉の脂分が水を注いだ底部に落ちるので、煙が立ちにくく、肉を焼きながら常に脂を拭い取る手間も不要だ。

    一見、小さすぎるようにも思えるプレートだが、次々に焼けるので2〜3人で使うには十分な大きさ。多めに焼き過ぎて干からびた野菜や肉が積み上がることがなく、食べるペースに合わせて焼ける。厚切りにしたステーキ肉をドンと焼くもよし、豚バラ肉をカリッと焼いてキムチを添えレタスやサンチュにくるんで食す、サムギョプサルを楽しむもよし。鶏モモ肉だって、皮目はこんがり、中はジューシーな焼き上がりで塩だけでもおいしく焼き上がる。

    そしてもうひとつ、本体まで水トレイとヒーターをバラバラにして水洗いできるのも、心躍るポイントだ。どんなに脂がハネても大丈夫。いつでもすっきり清潔に保てる。

    プレートはつくりたい料理に合わせて、スチーム料理や鍋料理が楽しめる「セラミックスチーム深鍋」や直径4・5㎝の大玉が15個焼ける「たこ焼きプレート」など、買い足していく楽しみもある。自社のショールームで撮影しているというレシピブックを眺めていると、どんどん料理したくなるから不思議だ。

    カラーはレコルトらしからぬ、黒に近い濃いネイビーと、こっくり落ち着いたレッドの2色展開。インテリアのアクセントにしたい人にも、シックにまとめたい人にもお薦めな調理家電だ。

    別売りで、たこ焼きプレートやバラエティプレート、セラミックスチーム深鍋などもラインアップしている。

    神原サリー
    新聞社勤務を経て「家電コンシェルジュ」として独立。豊富な知識と積極的な取材をもとに、独自の視点で情報を発信している。2016年、広尾に「家電アトリエ」を開設。テレビ出演や執筆、コンサルティングなど幅広く活躍中。
    ※Pen本誌より転載