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日本人の、このスタイルで、
やるべきダンスを探る。
Perfume、BABYMETAL、星野源らの振付で知られるMIKIKO。主宰するダンスカンパニー、ELEVENPLAY(イレブンプレイ)やPerfumeの公演では、メディアアートを交錯させた演出も行う。
「ダンス甲子園世代」という彼女が踊りを始めたのは、高校2年の終わり。1年後には教える立場となり、小学5年のPerfumeらを指導した。「教える=クラスの振付をつくらないといけなくて、最初はそれが苦手だったんです。でも、そのうち振りで人の魅力を引き出すことが面白くなってきて。踊るより、振付のほうが楽しいかも、と思うようになりました」
28歳の時、才能を見抜いたアミューズ会長・大里洋吉の勧めを受けて、1年半、ニューヨークで活動した。
「日本のダンス業界では、いかに黒人っぽいグルーヴを出せるかが〝かっこいい〞の基準でした。でもニューヨークに行って、彼らのダンスを真似するだけではダメだ、と思いました。日本人の、このスタイルでやるべきダンスはなにか探るようになったんです」
そうして生み出されたダンスの流儀は、たとえば手の動きやリズムとの距離感に顕著に表れる。
「もともと手の動かし方が苦手だったこともあり、どうすればしっくり来るか、ひたすら研究したんです。そうしたら『この位置に手があるとキマる』という自分なりの型が見えてきた。私の場合、踊りというより、型でリズムをデザインしているという意識があるのかもしれません。音楽を直球で表現するだけだと、面白くないなと思ったことがあって。あえて音がないところに動きを付けたりもします」
昨年手がけたリオ五輪閉会式の東京引き継ぎセレモニーが話題となり、星野源の「恋ダンス」も大流行。日本を代表する振付家になったMIKIKOの、「アイデアの扉」とは。
「楽曲の第一印象と、誰が踊るのか。アーティストの仕草や、日常で目にした人の動きから着想することもあります。特に子どもって、恥ずかしがって手で顔を隠したり、緊張して肩を上げたりするじゃないですか。そういう動きは、考えても絶対出てこない。『最っ高!』と思いながら見てます」
夢はブロードウェイのように、海外の人も来る劇場をつくること。「最っ高!」にイケてる日本のカルチャーを発信してくれそうだ。
2015年の公演『ELEVENPLAY×Rhizomatiks Research「モザイク」』。自分がやりたいことを、きちんとできた作品、と語る。
4/15~16、ギャラリーアーモで公演『Rhizomatiks Research×ELEVENPLAY Dance Installation at Gallery AaMo』を行う。