写真:SHINMEI(SEPT)
Vol.08 ユルい刺しゅうTシャツで、ユーモアのちょい足しを。
オトコがつい心惹かれてしまうファッションアイテムの代表格といえば、グラフィックTシャツとスポーツスニーカーでしょう。女性が街のウィンドウに並ぶ新作バッグにうっとりとするように、我々もまたTシャツとスニーカーは目ざとくチェックしてしまうものです。今回の「着る/知る」は、大人が選ぶのにふさわしい注目のTシャツをクローズアップ。日常の服装に1点取り入れるだけで、パッと明るくなれる優れものです!
ヤル気のなさそうなユルい味わいが笑いを誘うTシャツのブランド名は、「ジミ ルース(jimi roos)」。イタリア在住のスウェーデン出身の同名デザイナーが手がけています。あたかも子どもの落書きのようでいて、アートに通じる絶妙なバランス感覚がある服。大人に似合う理由は、グラフィックTシャツながら上品な印象があるから。ロックTシャツやスローガンTシャツなどのハードな絵柄の服は、ある程度の年齢になると着こなしが難しくなるものです。その点でこのブランドなら、安心して身につけられます。
さらにもう一つの優れたポイントは、服としての凝ったつくりにあります。イラストはプリントでなく、すべてミシン刺しゅうで描かれています。珍しいボコボコとした立体的な仕上がりは、ミシンの糸の張り方を調整して生み出したもの。刺しゅうの裏面を表に出すことに等しい、粗い手描き風の刺しゅうを実現させたのです。
Tシャツのボディ自体に特筆点はないものの、そこはご愛嬌です。長年グラフィックTシャツを愛用してきた人も、これまで馴染みがなかった人も、デイリーな服装をアップデートしてくれる「ジミ ルース」を一着手に入れてみてはいかがでしょうか。
まさに “遊び心” なデザイン
「ジミ ルース」の2016-17年秋冬コレクションでは、ほかにも楽しい服が多数あります。とくに気になるのは、アメコミ・ヒーローにインスパイアされたアイテム!
※アイテム、ポートレート写真提供:アマン
これらのイラストも、ミシン刺しゅうで表現されています。今季のアメコミシリーズは、デザイナーのジミ・ルースがニューヨークに旅をしたことから思いついたそう。この空間的な、“間” や “未完成” さのある落とし込みは、日本人の琴線に触れるものでしょう。以前にノルウェーのファッションブランドのデザイナーから、「自分たちはメンタリティが日本人と似ている」いう話を聞いたことがあります。ジミの出身も北欧ですから、我々と共通する美的感覚の持ち主なのかもしれません。
※アーカイブ撮影:高橋一史
絵本から飛び出してきたようなファンタジーから、ストリートのアイコンまで、豊かな広がりを見せています。アーカイブもコレクションしたくなる魅力満載。
もっと彼の世界を知りたい人は、ウェブサイトやインスタをチェック!(高橋一史)
jimi roos
www.jimiroos.com/
jimiroosofficial
www.instagram.com/jimiroosofficial/