東京車日記いっそこのままクルマれたい!
第23回 ボルボ XC90 T6 AWD インスクリプション/VOLVO XC90 T6 AWD Inscription
運転がツラたん!? だったらボルボにすればいいズラたん! 男を真の首長にかえるXC90でいざヴァルハラへ!
XC90が妙に気になったのにはちょっとした訳がありましてですね、本国スウェーデンのCMに英雄ズラタン・イブラヒモヴィッチが起用されてたのを、つい最近知ったのだな。そもそも2年前からXC70のCMに起用されてたんだけど、コレがやばい(※1)。本当にボルボのCMなの!? って度肝抜かれたからね。狩猟本能やセックスを想起させるシーン、全身に彫り込まれたタトゥーとか、これまでの我々が刷り込まれてきたところのボルボはもちろん北欧やスウェーデン感とは、真逆のワイルド男道全開な訳ですよ(笑)。そもそもズラタンは、ある一部に熱狂的な支持を受けている海外テレビシリーズ『ヴァイキング~海の覇者たち~』に、普通にヴァイキングの首長として出てきそうなこともあって、最後に「Made by Sweden」って出てきて初めて、「ああ、そうだった」と膝を打つ具合だったんだ(正確にはズラタンの両親はボスニア出身)。
そもそもズラタンはテコンドーの有段者で、195センチの長身フォワード。フィジカルの優位を生かした、強くて大胆不敵なプレイと歯に衣着せぬその言動はホンット自信の塊で、北欧神話の主神オーディンに愛される男そのものなんだ。なんてことをイメージで重ね合わせてたら、実際ボルボにそういう面を観たくなったって訳(笑)。ボルボの大型トラックには、そういう男くさいスカンジナヴィア魂を感じていたからね。他のトラックを凌駕するひときわ大きいボディとパワフルな性能、なにより錆びない堅牢強固なスウェーデン鋼はまさに世界に冠たる「Made by Sweden」なんだよ。ともあれ、そこで試乗したのが、XC90。いま一番新しくて、一番大きいボルボ(トラック除く)! そのXC90を1週間かけて900km乗った感想としては、「乗ればヴァルハラ。魂が安住するプレミアム・ファミリーカー」って感じだったな(笑)。燃費は実測でリッター8kmぐらいで、2トンを越える車重を考えれば及第点。動力性能も乗ったT6の直列4気筒はツインチャージャーで320馬力。でもこのXC90の良さってそこじゃなくて、今回大人子ども合わせて7人フルに乗っても余裕のドライブ空間でしょ。さらに、ヘッドレスト形状が素敵な肉厚シートが最高なのよ。実はこのシートは事故時に乗員を守るために独自の形状が施されていて、見るからに分厚いんだよね。これがスペースシップ風だし、総輪エアサス(オプション)で大型四軸のクルーズ走行みたいな乗り心地だったよ(笑)。
それと、今回のXC90はドライバーへのアラートも運転しているときの情報量としては多いんだけど、すごく気が効いていてドライビングの楽しさを妨げない。例えばちょっと長く運転していると「すこし休みませんか」って訊いてくるんだけど、それが「確かにな」って思える適度な時間間隔だったり、さりげなく前車や対向車の明かりを検知してロー/ハイを自動で切り替えてくれたり、大袈裟じゃなくて、深夜のロングドライブで目的地に到着したときほとんど疲労感を覚えなかったんだよね。ボルボは安全性能について挙げると切りがないんだけど、それがズラタン感とかスカンジナヴィア魂につながるかと言われれば、間違いなく繋がると断言したい。起こってみないと分からない事故の恐ろしさ。その危険を未然に防ぐのは首長(リーダー)の仕事だし、そういう地味な努力をひと知れずこなしてこそ首長だよね。
真面目とか誠実とか、ボルボのイメージを指すこの手の言葉はよく聞くところ。でも俺としてはこの際、もうひとつ加えたいんだな。それこそ崇高なるブランド。安全の思想のよって立つところは崇高さだからね。ちなみに今年のEURO2016でスウェーデン代表の敗退とともにズラタン・イブラヒモヴィッチは代表引退を決意したんだけど、その直後にボルボから「エピローグ」としてこんなCMが放映された(※2)。傷ついた国民を慰め、引退を決意したパートナーの英雄を励ますようなCMですよ。「Made by Sweden」って言葉が予選敗退でより沁みるっていうのも皮肉だけど、この原稿の言わんとしているところはここに尽きる。ま、はやくV90も導入しようよって気にもなるんだけど(笑)。
※1:Volvo XC70 feat. Zlatan Ibrahimović - Made by Sweden -
※2:Volvo V90 ”Epilogue” feat. Zlatan Ibrahimović- Made by Sweden -
●エンジン形式:2.0ℓ 直列4気筒ターボ
●最高出力:320PS
●最大トルク:400Nm
●トランスミッション:8速オートマチック
●車両価格:¥9,090,000
問い合わせ先:ボルボお客様相談室
TEL:0120-922-662