大胆で唯一無二の美しさを誇る「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」の新作は、伝統をベースに革新を重ねるオーデマ ピゲならではの腕時計。次々と革新的なタイムピースを生み出す名門ブランドの現在地をひも解く。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」 は2019年の初頭に姿を現し、瞬く間に時計界を席巻した。超名門ブランドの新作の成功、という地点を越えて、その腕時計が俯瞰する世界観は未だ広がり続けている。 3針デイトのシンプルなタイムピースは、丸形に八角形のミドルケースを組んだ斬新なデザインで心を惹く。
クロノグラフはオーデマ ピゲの技術力を満喫できる垂涎のモデルだ。手巻きフライングトゥールビヨンはオープンワークのデザインも選択でき、さらに自動巻きクロノグラフ搭載モデルが並ぶ。複雑機構ではさらにパーペチュア ルカレンダーが端正な魅力を見せる。 音響系の複雑機構ミニッツリピーター は「スーパーソヌリ」と、最高峰モデル「グランドソヌリ カリヨン」までが加わる。
「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」が提案する、腕時計の新たなコード
まだ2年目の「CODE 11.59 バイ オーデマ ピゲ」は、腕時計の技術を縦横に網羅した、充実と魅惑の系を既にかたちにしているのである。 腕時計に求められるあらゆる希望を受け入れ、未知のスタイルで現実化すること。大胆で斬新な一大プロジェクトを企画し実行したのは、圧倒的な存在感でスイスを代表する老舗ブランド。それは新しい“コード”の提案に他ならないのである。
現代的なミュージアムが、伝統と革新を体現する。
今年の時計界で話題をさらったのが、オーデマ ピゲ自ら創業の地に設立したミュージアム、「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」のグランドオープンだ。
オーデマ ピゲの本社はスイスのジュウ渓谷、ル・ブラッシュの地にある。世界的な名声をもつブランドは、スイスの中でもひと際自然に恵まれたジュラ山脈の桃源郷で育まれた。高級時計の揺りかごと呼ばれる奇跡の渓谷は、なによりも複雑な腕時計をつくるにふさわしい静寂さに満ちている。世界が注目するミュージアム「ミュゼ アトリエ オーデマ ピゲ」は、オーデマ ピゲが1875年に工房を開いたまさにその地に今年、開館した。
建物は斬新を極めた、総ガラス張りのスパイラル状構造をもつ。一方その現代性は、ル・ブラッシュの環境と内部を有機的に結合させる大仕掛けでもある。内部からは雄大な景観を眺め、外部からは孤立することなく視線を透過させる。環境の中に融合したミュージアムは、現代建築に先駆的なセノグラフィー(舞台美術)の要素を乗算したものでもある。
優れているのは建物だけではない。この場は自社ミュージアムであることを超えた、より高く深いアートの磁場でもある。展示空間にはオーデマ ピゲによる傑作の数々はもちろん、さまざまなインスタレーションや彫刻、オートマタや複雑な機械式ムーブメントの実物大模型、解説図が現れる。静的に名品を眺める視覚の楽しみ以上に、心躍る時間を演出する。訪問者はまた、オーデマ ピゲの仕上げ職人たちが継承してきた「サテン仕上げ」や「サーキュラーグレイン仕上げ」に挑戦する、貴重な体験もできる。
斬新で意欲的なミュージアムは、見せる場所であると同時に、ものづくりの空間でもある。オーデマ ピゲの時計づくりの中でも最も複雑を極めるグランドコンプリケーション工房と、芸術的な伝統工芸(メティエ・ダール)のアトリエが、スパイラルの中心を囲むように設置されている。目の前の職人たちが振るう超絶的な技巧の目撃者になる機会が提供されるのだ。
そして目前にあるのが、オーデマ ピゲ最高の銘品たちの展示である。創業以来の歴史に残る天文時計、音響系の複雑時計や希少なクロノグラフが、1899年製作の超複雑懐中時計「ユニヴェルセル」を取り囲む太陽系のように配置されている。さらに「ロイヤル オーク」や「ロイヤル オーク オフショア」「ロイヤル オーク コンセプト」コレクションが約300点の時計の展示のフィナーレを告げる。
ミュージアムはオーデマ ピゲの軌跡をたどり、伝説と奇跡の理由を解き明かしていく。そこで見出されるのは、世界を魅了するブランドの決して揺るがない姿である、伝統と革新の連続そのものなのだ。
※Pen 2020年12月1日号 No.508(11月16日発売)より転載
問い合わせ先/オーデマ ピゲ ジャパン TEL:03-6830-0000