1874年創業、至高の技が光るウォッチ&ジュエリーメゾンのピアジェ。この連載では、ピアジェのものづくりについて6つの視点から解説する。最終回となる今回は、2018年に発表されたコンセプトウォッチ「アルティプラノ アルティメート コンセプト」を通し、ピアジェの先進性について語りたい。
ピアジェが今年、正式に発売を開始した「アルティプラノ アルティメート コンセプト」は、時計史に残る偉業と賞賛されている。機械式手巻きながら、なんと2.0mmという薄さ。絶対に不可能と思われた“コンセプト”が、本当に実現した。初めて人の目に触れたのは2018年。文字通りコンセプトモデルとして披露された。華々しい存在は脚光を浴びたが、実用化に至るとは思われていなかっただろう。それでも未来に向けた意欲に、誰もが共感を寄せた。そして2年後、世界はピアジェの快挙を見ることになる。2mmというのは象徴的な数字である。
薄型時計のトップブランドとしてピアジェが勇名を馳せたのは、1957年発表の超薄型ムーブメント「9P」まで遡る。その薄さが、まさに2mmだった。限界を極めるそのようなタイトな空間に、今度は時計そのものを収めてしまった。強度を確保するために、ケースにはコバルト合金を採用。283ものパーツを駆使した設計は、薄さを少しも損なわない。すべて表側から見られる成果は奇跡的に立体的ですらあり、ピアジェらしい美しさをもつ。ピアジェの先進性は、未来の夢を見せるだけでは終わらない。鮮やかに現実化するまで一貫しているのだ。
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