数々の国際的なデザイン賞を受賞してきた「ラドー」。新たなコラボレーションの相手に選んだのは、気鋭の二人組デザインユニットだった。
小野直紀と山本侑樹によるユニット「YOY(ヨイ)」は、世界中のあらゆる人々に伝わるウィットあふれるプロダクトの開発に取り組んできた。海外のブランドが製品化したり、ニューヨークのMoMA がアイテムを販売したり、そのセンスは国境を超えて評価されている。
スイスの時計ブランド「ラドー」が、そんな彼らに注目。現行モデルの「トゥルースクエア」をベースに、文字盤や針、色などをデザインしたのが「トゥルー スクエア アンデジタル」だ。
0.1mm単位の作業が、潔い印象のデザインを生む。
YOYのふたりが発想したのは、アナログとデジタルという2つの要素を大胆にミックスした、簡潔にしてユニークなデザインだった。
「腕時計のスケールでなにができるかを考えていた時、7セグメントのデジタルの形が、時計の針になったら面白いと思いました。現実に存在する針と、デジタルの情報という虚構を対比させることで、アナログとデジタルを行き来するものになったのです」と小野さんは話す。
7セグメントとはデジタル数字を構成する7本のバーで、デジタル時計でも広く用いられてきたもの。時計の2本の針にそのバーを重ねると、まさに「アンデジタル」と呼びたくなる不思議な感覚が生まれた。小野さんが最初のスケッチを描き、山本さんとのやりとりを経てCG化したものをラドーに提案。このデザインが、ほぼそのまま製品化に至った。
当初のアイデアを際立たせるように、トゥルー スクエア アンデジタルの印象は潔い。しかし7セグメントの線の表現などディテールは検討を重ねた。カラーリングも、ラドー独自のハイテクセラミックスの端正な素材感を活かすブラックとした。
「製品の段階で0.1mm単位という細かい修正をするのは、いままでの僕らのデザインにはなかった。内部のムーブメントにも機械式時計のすごさを感じました」と山本さん。通常の製品とは精度のレベルが異なる、ラドーの時計づくりのクオリティが、この時計の存在感に表れている。
「現在はすべてがアナログからデジタルへと置き換えられていきますが、そこに逆行するものがあっていいし、どちらかが正しいということではない」と小野さん。コンセプトを上質に体現したトゥルー スクエア アンデジタルは、そこに秘められたメッセージが深い魅力を醸し出している。
問い合わせ先/ラドー/スウォッチ グループ ジャパン TEL:03-6254-7330
https://www.rado.com/int_ja/collections/true-square/true-square-designer/R27075152