歴史を刻むパリの建造物は、当時の最先端を走った建築デザインの集合体でもある。ファッションやグルメにも負けない奥深さを誇る建築巡りはパリの楽しみのひとつだが、今回はパリ近郊の知る人ぞ知るスポットを紹介したい。散策の相棒は、「フランスらしさに満ちた最新のデザイン(=フレンチ・モード)」を提案しながらヨーロッパ中で愛されてきた、ルノー ルーテシアだ。
16区のラ・ロッシュ邸、郊外のサヴォワ邸、そして自らのアトリエ&アパルトマンと、ル・コルビュジエの手がけた住宅建築はパリを訪れた建築ファンなら必ず訪れたい有名スポットだ。だが、パリ周辺にはユニークな邸宅がまだまだたくさんある。北欧の巨匠アルヴァ・アアルトが建てた個人住宅、1920年代の芸術グループ「デ・ステイル」の創始者の家、そしてフランス人現代アーティストによる実験的な住宅。小粒だけれど個性の光る郊外の3軒は、週末のドライブにちょうどいいルート。ルノー ルーテシアのハンドルを握って、知る人ぞ知る建築巡りに出発しよう。
1.フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルトが手がけた、大物画商の家。|ルイ・カレ邸
1.フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルトが手がけた、大物画商の家。|ルイ・カレ邸
パリからクルマで1時間ほどの田園風景に囲まれたバゾッシュ=シュル=ギヨンヌには、フィンランドの巨匠アルヴァ・アアルトが建築を手がけた家が残されている。マティス、カルダー、レジェ、クプカといったアーティストを扱ったパリの大物画商ルイ・カレの家は、画商夫妻の住まい兼仕事場であり、アートの展示空間とレセプションの場としての機能ももっていた。芝生に囲まれたこの家は、1959年竣工。1階にある図書室、サロン、ダイニングルームとキッチン、主人、妻、客用の3つの寝室部分が公開され、毎週末の午後、世界中から建築ファンを迎えている。
大きな門扉から敷地に足を踏み入れ、木立に囲まれた坂を登ると、なだらかな屋根が風景に溶け込む白い家が見えてくる。玄関を入ると、そこは白い壁にかけられたアートに向けて、北向きの明かり取り窓からやわらかな光が入る玄関ホール。船底を思わせる木製天井、リビングの西向きの大窓周りや図書室の内装にも木材がふんだんに使われた、いかにも北欧モダニズムの巨匠らしい家だ。家具も照明も、すべてアアルトがデザインしたオリジナルが残されているのも見どころ。既存のデザインもあれば、この家のためにデザインしたものも少なくない。窓やドアの取っ手、バスルームのステップに至るまで、ディテールのデザインにも温かみがあふれた家は、フランスで見学できる唯一のアアルト建築だ。
2.デ・ステイルの創始者が自ら設計・建築した、アトリエ兼住居。|ファン・ドゥースブルフ邸
セーヌ川を挟んでブローニュの対岸に当たるムードンは、ジャン・プルーヴェが手がけた14軒のプレハブ住宅が残ることで知られている。プルーヴェの残した家々は残念ながら見学はできないが、同じ街の中に実はもう一軒、小さなアーティストハウスが残されているのは意外と知られていない。
オランダ人アーティスト、テオ・ファン・ドゥースブルフは、1917年にピエト・モンドリアンらとともにデ・ステイルを結成し、ヨーロッパの抽象芸術の分野で活躍したアーティスト・美術評論家。23年からパリに住んだ彼は、29年、ムードンにアトリエ兼自邸として細部に至るまで自らデザインした家の建築を始めた。
アトリエを擁するキューブと居住空間のあるキューブのふたつを組み合わせた建築は、正面から眺めると、窓や扉などいくつもの四角形がリズミカルに組み合わせられたグラフィックな表情。白い壁に、ガレージの黄色いシャッター、玄関のブルーのドア、テラスに出る赤いドアの三原色で、デ・ステイルの美意識がそのままに表現されている。内装は、収納を壁に組み込み、コンクリートのテーブルを作り付けた。グレーのトーン違いの壁に、天井のステンドグラス、赤い床、ブルーの扉や黄色いテーブルが配置されて、家の構造そのものが明るくピュアなデザイン空間になっている。
ファン・ドゥースブルフは、この家の完成直前に急逝。邸宅は妻のネリーが引き継いだ。現在はオランダ政府の所有となり、80年代以降はアーティスト・イン・レジデンスの場として若き才能を迎えている。毎月第1土曜だけの公開だが、滞在中のアーティストの作品も発見でき、アーティストハウスとして生き続けている。
3.ジャン=ピエール・レイノーが手がけた実験的な家が、展覧会の場に。|マスタバ1
ジャン=ピエール・レイノーといえば、巨大な植木鉢や、白いタイルの部屋の作品でおなじみの、フランスのアーティスト。パリの新都心と言われるラ・デファンス地区に隣接する住宅地に、彼が1989年に建設した家「マスタバ1」がある。マスタバとは古代エジプトの長方形の墳墓のこと。その名の通り、地下に空間を設けたユニークな住宅である。白いタイル張りの建物に窓はなく、地下の400平方メートルの空間には、スカイドームと名付けられた半円形の天窓から自然光が降り注ぐ。完成当時は“作品のための家”として自作を置いていたレイノーだが、結婚後の約2年間は家族3人で暮らしたという。
「隣人からは白いタイルの壁しか見えない。この家は都市の中で静かな空間を作る方法のひとつ。人里離れた都会に行かずとも、都市の中で人とともに暮らしながら、人と分かれて暮らすシステムをつくった」とレイノーは語っている。
中は二層になっており、天窓の下の楕円形の部屋はアーティスト本人のオフィスだった場所。地下には暖炉のあるサロンやクローゼットのある寝室、キッチンもあり、住居だった頃の面影も残す。
仕切りのない開放的なスペースで壁は真っ白。どの部屋も天井からの採光のおかげで、地下とは思えない明るさだ。その一方で、しんと静まり返った空気が異空間に迷い込んだような気分を誘う。
現在はアーティスト本人が1~2年ごとに自作の展示を架け替える展示室として公開中。フォトモンタージュの「No Limit」シリーズや、ペンキ缶を並べた「Peinture」シリーズなどが展示されている。
街乗りからバカンスまで。オールマイティな相棒、ルノー ルーテシア。
パリを走るルノー ルーテシアの数は、いったいどのくらいあるのだろう。今年、誕生から30年を迎え、フランスでもヨーロッパでもロング&ベストセラーとして知られるルノー ルーテシアは、パリジャンなら一度は乗ったことがあるクルマ。ひとりでも、カップルでも、家族でも。日常の通勤にも、家族全員の荷物を積んで高速道路を長時間走行する休暇にも。パリジャンが描くルノー ルーテシアのイメージは、身近でオールマイティな相棒だ。
シンプルでコンパクトなボディデザインは、時代のトレンドをさり気なく取り入れてアップデートを重ねてきた。これ見よがしな装飾性よりも、シルエットのエレガンスを重視するフランス・スタイル。「フランスの」「最新デザイン」、つまり「フレンチ・モード」を体現している。5代目の新型ルノー ルーテシアは、流れるようなラインに、C型のLEDの光がシャープな印象を加えるモダンなデザインが特徴だ。
またインテリアやエクステリアにとどまらず、エンジンやプラットフォームもすべて一新。クラスを超えたドライブを楽しめるようになっている。すべてが新しくなったオールニューな新型ルノー ルーテシアと言える。
都会の運転に適したコンパクトなサイズながら、クラスの水準を超えた先進の運転支援システムを搭載しているのも魅力。ストップ&ゴー、車線逸脱警報、歩行者・自転車検知機能などが、毎日の運転を快適に支えてくれる。また、スマートフォンとの連携を可能にしたミラーリング機能やBOSEのサウンドシステムなど、ユーティリティも進化。渋滞でも、長時間走行でも、車内で過ごす時間を移動から“レジャー”に変えてくれる。
コンパクトなボディに秘められた、“フレンチ・モード”の美しさと快適さ。ルーテシアが長く愛される秘密は、そこにある。
ルノー ルーテシア(ZEN、INTENS、INTENS Tech Pack)
●サイズ(全長×全幅×全高):4075×1725×1470mm
●エンジン形式:ターボチャージャー付 直列4気筒DOHC 16バブル
●排気量:1333cc
●最高出力:96kW(131ps)/5000rpm ※参考値
●駆動方式:FF(フロントエンジン前輪駆動)
●メーカー希望小売価格:¥2,369,000(税込)~
※本記事の撮影に使用したのは欧州仕様車です。日本仕様とは異なる点があります。
問い合わせ先/ルノー・ジャポン
0120-676-365(フリーダイヤル 9時~18時、年中無休)