写真とカメラにまつわるライフスタイル提案を行う専門店「北村写真機店」がカメラの聖地・新宿に誕生。この新店舗にカメラを熱愛する松任谷正隆さんが訪問し、各フロアの楽しみ方をレポートする。
高知県高知市に「キタムラ写真機店」として創業し、今年で87年目を迎える「カメラのキタムラ」が新宿にオープンした旗艦店、それが「北村写真機店」だ。
街路に接する1階にはカメラのドレスアップアイテムやガジェット系のデジカメなどがごく控えめに展示してあるが、カメラ店というよりオシャレなセレクトショップのような雰囲気。あえてギッシリとカメラを展示せず、マニア以外のユーザーも優しく受け入れる店舗設計だ。カメラ愛好家の松任谷さんは少々戸惑った様子。「入った瞬間、何のお店だろう? という感じですね。僕は新宿に詳しくないけれど、お店があるのはこの位置ですか?」と覗き込んだのは新宿の街を縮小したジオラマ。これは自分の手持ちのカメラで撮影OK。眺めるのも楽しいが、思わず写真を撮りたくなる不思議な空間になっている。
現在発売中のカメラ・レンズを、余すことなくゆったりと展示。
いったい僕はどこに来たのだろう? という松任谷さんの表情は、2階の新品カメラコーナーに足を踏み入れた瞬間に変わった。目の前にあるのは、現在日本で発売しているほとんどすべてのカメラとレンズだ。「この2階のつくりは最高ですね。カメラがとても素敵に見えてきます」
展示のコンセプトは、ノイズレスであること。すなわちカメラの機能や価格訴求のビラの類いが一切目につかず、カメラやレンズが清潔感溢れるディスプレイ台に整列している。しかも、そのすべてはハンズオンして操作の感触や重量感を確かめることができる。松任谷さんが手にしたのはハッセルブラッドのデジタル機。そして、「最近気になっていた」というカールツァイスの交換レンズだ。素敵なカメラを目にして湧き上がってきた気持ちを3階のブックラウンジで少し鎮めて、4階へと進む。
フィルムからデジタルまで、圧倒的な在庫の中古カメラ
4階へと階段で上がって行くと、視界の右側にショウケースが見えてきて古いライカとレンズが並んでいるのがわかる。その時点で松任谷さんの歩みは一時停止。「すごい数のライカと交換レンズですね。これはフィルム機だけどデジタルのライカもありますか?」と時計回りにゆっくり足を進めると、お目当てのデジタルM型ライカ群に遭遇。これはすごいと目を輝かせつつ、振り返った逆サイドにキヤノンの激レアな超大口径レンズを発見。「このレンズ、どんな写りなんでしょうね。こういう名作が普通に見つかるのはいいですね」と興味津々。
4階には、およそ5,000種類の中古カメラが展示してあり、そのうち約2割が懐かしのフィルムカメラだ。松任谷さんはカメラ博愛主義者であり、デジタルカメラだけでなくペンタックスの古い一眼レフや、フィルム時代のオリンパスペンも大好き。それぞれのショウケースを慈愛の目で見つめ、思い出が蘇り、スルーすることはできない。「このフロア、進むのにすごい時間がかかりますよね。たぶん僕のペースだと1m10分だね(笑)」
博物館級の稀少アイテムを、サロン的な空間で堪能する。
6階では、稀少価値の高いヴィンテージカメラと新品のライカを扱う。「このフロアにある品物が頂点だけど、どんなカメラも憧れのもの。それが大事に扱われているのを各フロアで感じます。キタムラさんは、カメラ好きの心をよくわかっていますよ」と松任谷さんは微笑む。
「セレクトショップ的なスタイルの提案がありつつ、肝心な物もすべて揃う。過去と現在、普通の人からプロまでがシームレスにつながった“生きている博物館”みたいな場所ですね」と新店舗の印象を語ってくれた。コンシェルジュの見立てた超希少なライカの感触を味わって取材は終了。だが、もっと詳しく見たい松任谷さんの足は再び4階へ。「北村写真機店」には、そんな気持ちにさせる魅力が溢れている。
新宿 北村写真機店
東京都新宿区新宿3丁目26-14
TEL:03-5361-8300
営業時間:10時~22時(カフェは8時~23時)
無休(年始をのぞく)
https://kitamuracamera.jp
Instagram : https://www.instagram.com/kitamura_camera_tokyo/
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