1874年創業のウオッチ&ジュエリーブランド「ピアジェ」。その魅力を語る上で切り離せないゴールドとの深い関係について、4人の講師がひも解きます。3回にわたりお届けする講義の第1回を担当するのはライターの高木教雄さん。まずゴールドがどのように時計と出合ったのかを解説します。
高貴な金属として、誰もが当たり前のように理解している金(ゴールド)。しかしそもそも金とは、どのような素材で、歴史的にどのように扱われてきたのでしょうか。ピアジェとゴールドの関係をひも解くにあたり、まずはライターの高木教雄さんを講師にむかえ、知っているようで意外と知らない金についてひも解いてもらいました。
人々を魅了した金が、美しき時計の外装へと変貌。
真冬には深い雪に閉ざされる、スイス・ジュラ地方の山村ラ・コート・オ・フェの農園の一角に、ジョルジュ・エドワール・ピアジェが小さな時計工房を開いたことで、いまあるピアジェの歴史は始まりました。当初制作していたのは、精密加工が求められる脱進機。やがてムーブメント全体の開発・製造を手がけるようになります。当時のムーブメントは、むろん懐中時計用。高精度なピアジェ製ムーブメントは、高く評価され、高級時計ブランドのゴールドケースに収められました。19世紀、懐中時計は高級品で、故に外装にも貴金属であるゴールドが多用された……のではありません。一番の理由は、その頃、錆びない金属がゴールドしかなかったから。
金は、すべての金属の中でイオン化傾向が最も小さい。つまり化学的にきわめて安定し、他の物質とほぼ化合しません。金は、純粋な金として自然界に存在する稀有な金属。川底にたまる砂金が、その一例です。精錬する必要がないため、人類が最初に利用した金属だともいわれています。いつまでも変わることのない美しい光沢に、古代の人々は神秘を感じたのでしょう。有史以前より金は、高貴な金属として扱われてきました。不変の金は不老不死の象徴でもあり、古代文明の王族の遺物に用いられています。ツタンカーメンの黄金のマスク、マヤ文明のゴールドのオブジェクトなど。金箔に代表されるように金は柔軟に変形する展延性に富み、加工が容易です。古代の粗末な工具でも複雑な造形が、かなえられたのです。
1943年、創業者の孫ジェラルド・ピアジェとヴァランタン・ピアジェは、ピアジェの名を商標登録。ムーブメントメーカーから、ウォッチメゾンと転身を図りました。当時のカタログには、本物の金貨にセットできる薄型ウォッチが掲載されています。そう、古代の人々が魅了された金は、後に貨幣になり、各国の通貨価値を決める基準ともなったのです。そしてピアジェは今日まで、高貴な金にていねいな仕上げや装飾を施し、美しいフォルムを与え、より価値の高い時計の外装として生まれ変わらせてきました。用いるのは、純金(24金)ではなく18金。前述のように展延性が高い純金は、やわらか過ぎて装飾品には向きません。そこで割金と呼ばれる他の金属との合金とし、適度な硬さを得ています。18金で金が占める割合は、重量比で24分の18=75%。割金には銅と銀、パラジウムが主に用いられ、その比率によって色が変わります。
上の「ピアジェ エンペラドール クッション」は、ピンクゴールドで8.85mm厚の薄型ケースを形作りました。スケルドナイズしたムーブメントの地板とブリッジも、ピンクゴールド製。残したフレームはすべて手作業で面取りし、かつ磨き上げ、煌めくような鏡面を表しています。フレームの外側と内側のすべての角が、鋭利であるのが優れた手業の証し。より一層増した高貴さは、ゴールドであるがゆえ永遠に保たれます。外装も機械もサテンの部分は重厚で、鏡面部分は華やか。ゴールドの魅力を最大に引き出す仕上げの妙を、ピアジェは心得ています。
問い合わせ先/ピアジェ:0120-73-1874
www.piaget.jp
■PIAGET×Penトークイベント 10組20名様ご招待!
時計ジャーナリスト並木浩一とPen Online編集長石川康太が、ピアジェのゴールドウォッチについて語るトークイベントを開催します。会場となるピアジェ 銀座本店には特別にスイス本国から取り寄せた、約20点もの貴重なアーカイブピースを期間限定展示。シャンパンと軽食を楽しみながら、ピアジェのゴールドに包まれたひと時を楽しんでください。
開催日時:2019年10月17日(木)19時開演~20時閉演予定(18時30分開場予定)
開催場所:ピアジェ 銀座本店
東京都中央区銀座7-8-5
ご応募締め切り:2019年10月7日(月)23:59
主催:CCCメディアハウス
共催:ピアジェ
入場無料
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