ビジネスでもプライベートでも大人に必要なのは、TPOに合わせたコーディネートです。洋服に時計、靴……と、いったいどのように合わせるのが正解なのか、コーディネートのプロであるスタイリストにその秘訣を聞いてみました。
メンズファッションも近年ではカジュアルなスタイルが人気を呼んでいます。とはいえ、やはり大人の男のスタイルはTPOが肝要。それぞれのシーンに応じたファッションは、相手に敬意を表するアティチュードにもなります。それが気持ちの余裕につながり、周囲にも好印象を与えるのです。その上で、欠かせないのが小物といえるでしょう。とくに男性において注目されるのが手首と足先、つまり時計と靴なのです。実際のシーンでのファッション、時計、靴のコーディネートについてPenでもお馴染みのスタイリスト、石関淑史さんに伺いました。
上写真のショルダーバッグ¥127,440(税込)/ザネラート(アマン TEL:03-6427-6601)
大人のナイトライフでは、レザーのライダースをエレガントに。
アフターディナーのクラブやバーは、気分を解放させるリラックスタイム。そんな時は、上品にお洒落を楽しみたいものです。「こういう時に重宝するのがブラックレザーのライダースです」と石関さん。「レザーの光沢感とワイルドさがほどよくマッチし、スポーティかつドレッシーさを醸し出します。インナーに白のドレスシャツを合わせれば、ロッカー風にもならず、さらに首元のスカーフがエレガンスを引き立てます」。そのスタイリングに合わせたい時計が、老舗ヴァシュロン・コンスタンタンの「フィフティーシックス・コンプリートカレンダー」です。1950年代、ニューヨークのジャズクラブに集った男たちを彷彿させるスタイルを現代的に表現したモデルで、文字盤のペトロールブルーがブラックレザーにもクールに映えます。漂う気品に、心地よい時が刻まれます。
ソファーやスツールで足を組んだ時に、ひと際存在感を発揮するのが靴です。“足先を見る”ではありませんが、そのチョイスにはその人のセンスが表れます。そこで石関さんがお薦めするのは、サイドゴアのチェルシーブーツです。「ブラックライダースとも合わせやすいアクティブなスタイルながら、裾に隠れてしまえば見た目はシンプルなレザーシューズと変わりません。レースアップに比べて履きやすく、心地よいフィット感も魅力です。ぜひ落ち着いたグレーのスラックスと合わせたいですね」。そのスタイルに合わせる「フィフティーシックス・コンプリートカレンダー」は、躍動感とドレッシーを併せもった足先とも相性のいい時計。スマートなラウンドケースには、ブランドアイコンであるマルタ十字のデザインを秘めています。またペトロールブルーの文字盤に合わせて、ソックスもブルーを選ぶというお洒落の上級技もアリ。
上写真のライダースジャケット¥159,840 (税込)/チンクワンタ(チンクワンタ TEL:050-5218-3859)、スカーフ¥9,720(税込)/アーデー&シー 1956 ミラノ(インターブリッジ TEL:03-5776-5810)、チェルシーブーツ¥156,600(税込)/ジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店 TEL:03-6805-1691)
ロングコートを羽織り、旅情を味わう。
旅のスタイルといえば、軽さや防水、防寒性、しわになりにくさといった、実用性が重要です。しかしそれを追うだけでは、日常から離れる旅の楽しみも半減してしまいます。プライベートな旅ならなおさらのこと、かつてのクルーズを思わせるような優雅な旅の雰囲気を味わいたいものです。「大人の旅にはぜひロングコートをお薦めしたいですね。近年ではゆったりとしたフォルムに合わせ、ロング丈が復活しています。エレガントなスタイルはまさにダンディズムの象徴です」と石関さん。その腕に華やぎを添えるのが、ヴァシュロン・コンスタンタンの「オーヴァーシーズ・デュアルタイム」です。優れた機能性はもとより、ピンクゴールドのケースは、落ち着いた大人の風格とともに、旅の時間をさらにゴージャスに飾ってくれます。
旅先で楽しく過ごすには、足先も大事です。フットワークの軽さこそ好奇心の源であり、それにはやはりスニーカーが最適です。いまやスポーツブランドばかりでなく、多くの名門革靴ブランドもスニーカーを手がけ、スタイルもベーシックからハイテク、90sテイストのダッドスニーカーまで揃います。なかでも石関さんがお薦めするのは、クラシックなスエードスニーカーです。「とくにブリック(煉瓦)カラーならパンツとも色を合わせやすく、旅先でのコーディネートに困りません。やや厚めのホワイトソールはボリューム感があり、レザーとのコントラストも効いています」。シーンを問わず履くことのできるスニーカーと同様に、腕時計のストラップをラバーからレザーに交換することで、移動からディナーまで幅広く使えます。「オーヴァーシーズ・デュアルタイム」は、まさに一本二役のトラベルウォッチです。
上写真のタイロッケンコート¥170,640(税込)/ヴァルスター(八木通商 TEL:03-6809-2183)、ニット¥28,080(税込)/マクローレン(マクローレン TEL:050-5218-3859)、キャスタートランク¥77,760(税込)/ブリックス(エース TEL:03-5843-0606)、パンツ¥31,320(税込)/アントレ アミ(インターブリッジ TEL:03-5776-5810)、スニーカー¥63720/ サントーニ(リエート TEL:03-5413-5333)
基本のネイビースーツに、レトログラードでさりげないこだわりを。
ファッションのカジュアル化ととともに、ビジネスマンのドレスコードも変わりつつあります。それでも基本はスーツにあることに変わりはなく、とくにネイビーには礼節を重んじる凛々しさが際立ちます。ただし、そこにも自己主張は欠かせません。石関さんが選んだのは、イタリアのナポリを代表するブランド。「ネイビースーツというドレスコードを崩さず、パープルのストライプを控えめに入れることで、ナポリらしい艶っぽさを演出します。その色を受けて、ネクタイも深いパープルで合わせれば、秋の季節感にも合致します」。さり気ないこだわりは、ミニマルなデザインにエレガンスが薫る腕時計、ヴァシュロン・コンスタンタンの「パトリモニー・ムーンフェイズ&レトログラード・デイト」とも通じます。そしてネイビースーツと黒白のドレスウォッチの組み合わせは、普遍的でありながら常に時代の感性を反映するのです。
手首のブラックレザーストラップに合わせる足先は、ブラックレザーに尽きます。男性のフォーマルスタイルでは、靴とベルトの色を合わせるのが基本であり、それは腕時計とのコーディネートでも変わりません。控えめなデザインに統一することで、品格を漂わせることができます。その中でも、やや丸みを帯びた美しいエッグトゥを選べば、シンプルなスタイルにも個性を演出できます。
ビジネスシーンにおいても、スマートウォッチを着ける人が増えてきました。デジタルデバイスとしての実用性は高く、利便性や効率を求めればそれも選択肢のひとつです。ただその一方で、伝統的な機械式時計を求める傾向も高まっています。そこには時間に追われる日常でも、自分らしくありたいという思いが込められています。そしてどれほど多忙でも、時計を見ることでその美しさや針の動きに気持ちが落ち着くことがあります。それは靴も同じこと。ふとした瞬間に目に入る美しく磨かれた靴に、気持ちが前向きにさせられます。いわばビジネスにおけるドレスコードとは、周囲に対しての心配りであると同時に、自分自身を鼓舞してくれるもの。だからこそ時計と靴は、男たちの心を捉えて離さないのです。
上写真のスーツ¥421,200(税込)/イザイア(イザイア ナポリ 東京ミッドタウン TEL:03-6447-0624)、ブリーフケース¥190,080(税込)、シューズ¥145,800(税込)/ともにジェイエムウエストン(ジェイエムウエストン 青山店)
●問い合わせ先/ヴァシュロン・コンスタンタン TEL:0120-63-1755 www.vacheron-constantin.com