2014年に発表された新作腕時計から、いまこそ欲しい珠玉のモデルを厳選。Part2では「エレガントウォッチ」を紹介!
ヴァシュロン・コンスタンタン
オーヴァーシーズ・デュアルタイム
日本初の直営ブティックを記念した、限定デュアルタイム
一度として途切れることなく時計づくりを続けてきたブランドとして、世界最古を誇るヴァシュロン・コンスタンタン。日本初の直営ブティックを2014年12月9日にオープンしましたが、これを記念して、3タイプの日本ブティック限定オリジナルを発表。写真はそのひとつ、限定100本の「オーヴァーシーズ・デュアルタイム」です。
国内外の高級ブランドが集まる銀座・中央通りに立地する直営店は、2フロア構成で総売場面積は140㎡以上。エレガントな建築デザインとインテリアによってブランドの世界観と精神を体現する中で、全ラインアップが展示されています。さらに完全ビスポーク・サービス「アトリエ・キャビノティエ」では、世界で唯一の自分だけのオリジナル時計をオーダーできるのです。
日本ブティック限定の新作オーヴァーシーズ・デュアルタイムは、9時位置のパワーリザーブ表示の右側に「LIMITED EDITION TOKYO」の文字をアレンジ。軟鉄製耐磁構造がスマホなどの磁気からムーブメントを保護しているほか、150m防水など日常使いに最適な現代的モデル。注目したいのは6時位置の第2時間帯と2時位置のデイト表示。手作業によるギョーシェ彫りが施されており、260年に及ぶ伝統と誇りをシンボリックに継承しています。
ブレゲ クラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5377
ブレゲ
クラシック トゥールビヨン エクストラフラット オートマティック 5377
ケース厚7㎜という、超薄型自動巻きトゥールビヨン
2013年のバーゼルワールドでリリースされ、2014年に正式に発表となった、ブレゲならではの画期的な超薄型自動巻きトゥールビヨン。ブレゲらしいクラシカルな顔つきにもかかわらず、トゥールビヨンを変則的な5時位置に配置していますが、これはシリコン製ヒゲゼンマイとチタン製ケージなどを備えた最先端機構の象徴といえるでしょう。
それだけでなく、ムーブメントの外縁で両方向に周回するプラチナ製のペリフェラル・ローターを搭載して、ムーブメントの厚さを3㎜ に圧縮。ケース厚でも7㎜ という、世界最薄の自動巻きトゥールビヨンに仕上がっています。1秒8振動と、この機構ではハイビートながらも、特許取得の「ハイエナジー香箱」によって、約80時間というロングパワーリザーブも実現されています。
その一方で、ブレゲ独特の意匠も備え、職人の熟練した手作業による4種類の異なるギョーシェ模様が特徴。ダイヤル中央はクルー・ド・パリ、ローマ数字インデックスの外側にバーリーコーン模様。8時30分位置のパワーリザーブ表示はシェブロン模様が施されているほか、これらの表示を区切る縁飾りも手作業で施されています。時を超えた美しい意匠やていねいな細工と、現代のテクノロジーを見事に融合した、独創的で芸術性の高い傑作複雑時計です。
ブルガリ・ブルガリ ローマ
ブルガリ・ブルガリ ローマ
130年の歴史を祝す、リミテッド・エディション
ギリシャの銀細工職人、ソティリオ・ブルガリによって1884年にローマで誕生したブルガリは、2014年に130周年を迎えました。ローマの本店が華麗にリニューアルをするなどの記念事業に加えて、腕時計でも特別限定の「ブルガリ・ブルガリ ローマ」130周年記念モデルを発表しました。
この「ブルガリ・ブルガリ ローマ」は、1975年に顧客への非売品モデルとして製作。2年後の77年にはそのベゼルにロゴをダブルで刻印した「ブルガリ・ブルガリ」が登場。超人気ロングセラーの原型といえるでしょう。記念モデルは当時のオリジナルを継承。小気味がよいほどシャープで凛とした円筒型ケースのベゼルに「BVLGARI ROMA」のロゴを刻印。このケースを際立たせるように、長めのラグがアリゲーターストラップを留めています。
艶のあるラッカー仕上げのダイヤルには、立体感の高いアプライド(植字)でバーインデックスと12と6の数字を配置。ケースからダイヤルデザインまで、建築的な合理性と独特の美意識は初期のモデルから貫かれていたようです。 ムーブメントは約72時間のロングパワーリザーブを誇る自動巻きキャリバーBVL131Mを搭載。写真のモデルのほかにPG×白文字盤、WG×ブルー文字盤のタイプも用意されており、各130本の限定となっています。
ルイ・ヴィトン タンブール ワールドタイマー
ルイ・ヴィトン
タンブール ワールドタイマー
地球規模の「旅」を実感させる、待望のワールドタイマー
ルイ・ヴィトンのすべての原点は、「旅」にあります。トランクはもちろんとして、時計も当初から旅をベーシックなモチーフとしてきました。その意味では世界の主要都市の時間がわかるワールドタイマーの登場は、いささか遅いような印象も受けますが、そのかわりに今年春のバーゼルワールドで発表された「エスカル ワールドタイム」は、38色を駆使したカラフルなデザインに加えて、針でなく3枚の可動ディスクで表現するという卓抜な技巧が導入されていました。
このモデルに続いて、満を持した格好で登場したのが「タンブール ワールドタイマー」です。サイドが膨らんだ個性的なドラム形ケースに、世界地図をデザインした大きなインダイヤルをオフセンターに配置。2時位置のプッシュボタンを押すと、この背後にあるディスクが回転するので、スリットの中に見えるイエローマーカーを希望の都市名に合わせれば、その現地時間と日付が右の小窓に表示されます。ボタンのワンプッシュで希望の都市を第2時間帯として呼び出せる簡便な操作性が特徴ですが、グレーダイヤルにホワイトのインデックスと時分針、そしてイエローの秒針と都市名のコントラストが上品で洗練されたイメージ。ダークスーツにも合う配色なので、ジェットセッターにとっても、待望のモデルではないでしょうか。
エルメス ドレサージュ ルゥール・マスケ
エルメス
ドレサージュ ルゥール・マスケ
時針が隠された、遊び心豊かなコンプリケーション
エルメスがヴォーシェ社の機械式ムーブメントを搭載した時計を初めて発表したのは2003年。以来、機械式時計のラインアップが年々充実してましたが、エルメスの独創的なオリジナリティを発揮して世界を驚嘆させたのは、11年の「アルソー タンシュスポンデュ」です。9時位置のボタンを押すと、デイト表示が隠れて、時分針も12時近くに移動して〝あり得ない〞時間を表示する。この常識破りの「遊び心」は留まることなく、昨年にはデイト表示に代えて、一周24秒(!)を、何と逆回転(!!)するスモールセコンドを備えた新作が加わったのです。
そして2014年の新作「ドレサージュ」では時針も秒針もが消えてしまいました。6時位置に小窓はありますが、表示されているのは「GMT」という文字だけ。つまり、普段は分針の動きしか見えない時計なのです。リューズトップのボタンを押している間だけ、時針が現れて正確な時刻を示し、GMTの小窓にも第2時間帯が表示されます。モデル名は「ルゥール・マスケ」。「隠された時間」という意味ですが、時針が隠れている間も内部の機構が動き続けなければ、このような表示は不可能。高度な機構を備えた複雑時計です。エルメスでは「自由な時の概念」と説明しますが、時間に追われて自分を見失いがちな現代人への、ウィットの効いた仕様とも思えるのです。
オメガ シーマスター アクアテラ マスター コーアクシャル
オメガ
シーマスター アクアテラ マスター コーアクシャル
15000ガウス以上の強磁場でも影響を受けない、究極の耐磁腕時計
昔から磁気は時計の大敵とされてきましたが、そもそも以前は磁気を発する機械が少なく、パイロットや医師など特殊な職業の人だけが注意すべき問題でした。ところが現代では高性能な小型磁石を内蔵したノートパソコンやスマホなどの電子機器が急増。一般の人でも磁気帯びが問題となる時代になってきたのです。
これまでは軟鉄のインナーケースでムーブメントを保護する方法が一般的でしたが、これではシースルーバックはもちろん、デイト表示の小窓も開けることができません。そこでオメガは発想を根底から逆転。磁気の影響を受けない新たな合金素材「ニヴァガウス」を独自開発して、ムーブメント自体を非磁性素材で製造したのです。このため、従来の15倍以上、1万5000ガウスの強力な磁気にも耐えるほか、シースルーバックで内部の機構を見ることも可能。この破格の高耐磁ムーブメント、「マスター コーアクシャル」は昨年から搭載を開始しています。この時計を強力な磁石の上に置くデモンストレーションでも、他の時計は一瞬で針が止まったにもかかわらず、まったく問題なく動き続けていました。オメガでは「マスター コーアクシャル」を自動巻き全機種に標準搭載していく予定ですが、その先駆けとして、いち早く発表されたのが、この「シーマスター アクアテラ」です。
A.ランゲ&ゾーネ 1815 “2014 edition”
A.ランゲ&ゾーネ
1815 “2014 edition”
創業者の誕生年を冠したモデルが、美麗にサイズダウン
時計を見慣れてくると、3針または2針のベーシックなドレスウォッチが逆に新鮮に感じるようになります。機能がシンプルなだけに、素材や仕上げからデザインまで違いは明瞭となり、美しい高級時計が欲しいと思うようになったら、マニアの仲間入りです。
A.ランゲ&ゾーネを創業したアドルフ・ランゲの誕生年を命名した「1815」は、そうした高級時計を代表する1本といえるでしょう。左右完全対称で、隅々まで端正極まりないドイツ・デザイン。これまではケース径40㎜でしたが、今年から38.5㎜にサイズダウンしたコレクションを追加し、腕が細い人にもピタリとフィットするようになりました(40㎜も継続)。シルバー無垢の2層式ダイヤルの6時位置にあるスモールセコンドは、かつてランゲが名声を誇った懐中時計からイメージを得たといいます。輪郭を2重にすることで柔らかなイメージを与えるベゼルや細身のラグなど、すべての要素が高貴というほかなく、それゆえに時代を超越した魅力をたたえています。
こうなると、55時間のパワーリザーブをもちながら、手巻きであることも不思議には感じられません。シースルーのケースバックから精緻な機構が見られるからです。繊細な手彫りが施されたテンプ受けなど、思わず見惚れてしまう美しい裏側の魅力も、店頭でぜひ確認してください。