いち早く知っておくべき、3人の日本人デザイナー

  • 文:高橋一史
Share:

【 GENTLEMAN'S STYLE BOOK × Pen Online 03 】 9月1日発売の本誌ファッション特集で紹介している世界のデザイナー7組に続き、ここでは日本人デザイナーにフォーカス!

左:ジャケット¥61,344、カーディガン¥46,224、シャツ¥25,704、パンツ¥28,944、シューズ¥80,784 右上:スウェット¥26,784、シャツ¥27,864 右下:ジャケット¥46,224、シャツ¥21,384、パンツ¥39,744

01 渡部宏一 Koichi Watanabe

RAINMAKER [レインメーカー]

モードの味付けが光る、スタンダードアイテム


渡部宏一は、スタンダードアイテムを現代的に再構築する手法でデザインしています。このやり方自体は珍しくありませんが、彼の目線がユニークなのは、世界の最先端モードにも目を向けているところにあります。クラシカルなテーラードジャケットのボトムに合わせたスウェットパンツ(この着こなし自体、旬のスタイル)は、裾がアランセーターのようなニット仕上げ。カムフラ柄(これもトレンド!)のジャケットは、スポーティなフリース素材で、カーディガンの着心地を楽しめます。そのインナーは20世紀前半の下着のようなヘンリーネックTシャツですが、素材は光沢があるラグジュアリーなもの。ヨーロッパの先端レディスファッションとも共通するエッジーな感性によってリ・クリエイトされた大人のワードローブは、京都の直営店「RAINMAKER KYOTO」をはじめ、「インターナショナルギャラリービームス」「伊勢丹新宿店 メンズ館」などで手にすることができます。



Profile

●1980年生まれ。デザインを学んだのち、「MORIKAGE SHIRTS KYOTO」にて、オーダーメイド、レディメイドのデザイン、製造を経験。2008年にファッションブランド「N4」を立ち上げる。2013年秋冬より自身のレーベル「RAINMAKER」をスタート。(RAINMAKER TEL:075-708-2280 www.rainmaker-kyoto.com

左:ジャケット¥37,800、中に着たジャケット¥31,320、シャツ¥19,440、パンツ¥37,800 右上:シャツ¥27,000、パンツ¥37,800 右下左:ジャケット各¥31,320 右下右:ジャケット¥30,240、プルオーバー¥17,280

02 郷 裕一 Hirokazu Goh

salvy; [サヴィー]

確かな生地づくりがもたらす、エレガント・カジュアル


イギリスにてインスティテュートマランゴーニ・マスターコースにて学ぶ傍ら、作品づくりの経験も積んできた郷 裕一が帰国して手掛ける「サヴィー」。生地の開発に力を注ぎ、“長年着続けられる”ことも視野に入れたハイカジュアルブランドです。その服は、アウトドア、ビンテージ、ストリートなどの要素をちりばめつつ、無国籍なデイリーウェアに落とし込まれています。青いジャケットは男の定番スポーツウェア「コーチジャケット」をモチーフに、3重織り高密度コットンオックスフォードというハリのある生地を採用。シンプルな見た目とは裏腹に、内外に数多くのポケットが取り付けられ、「ハンティングジャケット」のごとき収納力が実現されています。ランダムストライプのネイビーシャツは、高級なタスマニアウールを用いたサキソニー生地。ドレッシーなスーツの感覚が日常に落とし込まれたデザインです。さりげなく漂うエレガンス、服好きをうならせるこだわりは、大人こそ理解できるテイストといえるでしょう。国内取扱店は「インターナショナルギャラリービームス」など。今季よりパリの有名ショップ「レ・クレルール」でも展開がスタート。


Profile

●国内にて三宅デザイン事務所に勤務。在職中に神戸ファッションコンテストでグランプリを受賞して退社。渡英し、ファッションスクールに通いながら就業。帰国後、自身のデザインスタジオを設立し、2013年「サヴィー」デザイナーに就任。(イーライト TEL:03-6427-7744 salvy.jp


左:シャツ¥30,240 右上:ジャケット¥105,840 右下左:ジャケット¥73,200 右下右:コート¥172,800

03 尾崎雄飛 Yuhi Ozaki

SUN/kakke [サンカッケー]

ツウもうなる、高級素材と抜群の着心地


ユニークなブランド名の由来は「三角形」。大手セレクトショップのバイヤー経験をもつ尾崎雄飛が2012年に立ち上げたブランドで、シーズンごとに発表する型数はごくわずか。ブランドとしての規模を度外視してつくりたいものをつくる姿勢が、通の大人の心を掴んでいます。そのデザインは、どこか不思議な“ズレ”のあるバランス。白のウエスタンシャツは、メインの生地にエジプト綿の最高品質「フィンクス綿」の高密度オックスフォードを用いてドレスアップできるクオリティに。ボタン位置をセンターにずらした胸のフラップポケットが、実に彼らしい遊び感覚です。ネイビージャケットも胸ポケットがウエスト位置にまで下げられ、シックな中にユーモアが加味されています。ドットの裏地が肌に馴染むシルクというのも、服を良く知る大人に向けたアイテムだからこそ。取扱店は限られますが、ぜひ探して袖を通してみてください。手に入れて着るうちに気づくこだわりも満載なのです。主な取扱店は、「エディフィス東京 渋谷店」「伊勢丹新宿店2階 メンズクリエイターズ」「ワイルドライフテイラー 丸の内店・恵比寿店」など。


Profile

●大手セレクトショップのバイヤー、ビンテージショップ店主、「フィルメランジェ」ディレクターを経て、2011年よりフリーのデザイナー/ディレクターに。活動を続けながら、2012年にノンジャンルな作風の自身のブランドをスタート。(▽三角形 TEL:03-6438-9309)



9月1日発売の本誌ファッション特集では、ダンヒルのジョン・レイ、アレキサンダー・ワン、アレクサンドル・マテュッシら世界の注目デザイナー7組を紹介しています。


関連記事

人気クリエイターが着こなした服、スタイリストはこう選んだ。

大人のお洒落は、「カジュアル」でこそ差をつける。