語れる服 Vol.3:NY在住英国人デザイナーが話す、「ラグ&ボーン」の服づくりの心。
上写真:ラグ&ボーン表参道店にて。右がマーカス・ウェインライト、 左は デヴィッド・ネヴィル
デニムのオリジナリティ
「フロントのボタンホールは通常では直線カットとなるところを、斜めにしています。生地が堅い生デニムでも急いで着脱できるようにアレンジしました。深いヒップポケットは手を入れやすいように計算した仕様で、このポケットを裏で補強する『隠しリベット』は、ビンテージデニムの名残りです」
「ブランドスタートのときにアジアの某国で300着ほどデニムを製造しましたが、最悪な仕上がりになってしまって。そこでケンタッキーの古い工場につくり直してもらったら、品質が素晴らしくて感動しました。一生涯デニムを縫い続けている職人に出会い、物づくりの大切さを知り、それがラグ&ボーンの方向性を決定づけました。残念ながらあの工場は倒産してしまったけれど、私たちのデニムはアメリカ生産を続けています」
写真:ページで紹介しているデニムはブランド設立当初から続く、やや細身ストレートの定番モデル「RB15」¥21,000
ラグ&ボーンのルーツ
「彼とはロンドン郊外の全寮制学校の先輩と後輩でした。私は銀行に勤めていたのですが、ファッションに興味がありニューヨークに住んでともに仕事をすることに。スタートから最初の3年間は稼げなかったですよ。最後の1ペニーまで使い果たしましたから(笑)。でもいつか成功すると信じて続けました。軌道に乗り出したきっかけは『バーニーズ ニューヨーク』がパートナーになってくれたこと。日本で最初に買い付けてくれたのは『ユナイテッド アローズ』や『ジャーナル スタンダード』などです」
「この図案は、マーカスが育てていたインディゴ染料の原料となる葉っぱがモチーフ。自分たちのルーツとなる気持ちがここに込められています」
今ではニューヨークコレクションのランウェイでメンズ・レディスのフルラインを発表するまでに成長し、モード界でも知られるラグ&ボーンですが、設立当初の服づくりへの愛情はしっかりと守られているのです。
上写真:ラグ&ボーン表参道店のデニムコーナー。ブルー、インディゴの生デニムが中心のクールなラインアップ。ブラックの生デニムは日本限定。
アンダーウェアのように、毎日着る新ライン
「ボタンは素晴らしい加工技術を持つアルゼンチンの工場製です。自分でボタンを塗って剥がしてサンプルをつくったんですよ」とマーカス。
こうした彼ら自身がデイリーに着ているような服が、2013年冬から「スタンダード イシュ-」ラインとして定番リリースされることになりました。まずはビンテージテイストのTシャツとチノパンが展開されます。以前の服と同型のアイテムもあり、今後はブランド織りネームが順次新しく変更されます。
「男は、朝起きてクローゼットを開いても、結局、お気に入りの服を着ちゃうことが多いですよね。アンダーウェアのように毎日繰り返し着続けられる服をライン化しました。軍モノのTシャツやパンツなどのタイムレスなアイテムを、ハイクオリティなファブリックで置き換えています」
特に彼のお気に入りの服はどれでしょうか?
「う~ん、選べないなあ。自分がいいと思うものだけをつくってますから。特にTシャツは全部好きですよ」
スタンダード イシューには、英国出身者ならではのミリタリーウェアのテイストが息づいています。
「学校がミリタリースクールだったから、ミリタリーフォーマルの感覚と実用的なアメリカのアイテムが融合しているのでしょう。二人のメンタリティはやはり英国なんです。アメリカ人ならTシャツのフロントに大きなブランドロゴを入れたデザインをしますが、ラグ&ボーンがそうしないのは英国のセンスだから。私たちのワークウェアは“アメリカ調”で、サルトリアのテーラリングは“英国調”ともいえます」
クラシックでタイムレスな服のために
「ラグ&ボーンは高品質な日本製生地の服が多く、このジャケットも日本の『ニッケ』のもの。そういえばライニングも日本製ですね(笑) ほかで特に気に入っている生地が、グレーのパーカ(前ページ参照)。スウェットは日本製が世界最高です、It's Cool !!」
表参道の裏通りに佇む一軒家の直営店では、半地下の1階がメンズ、2階と3階がレディスに分かれています。細身からワイドまでの様々なデニムも、スタンダード イシューも揃い、年間通して着られるアイテムが充実しています。もちろんショーで発表されたモードなデザインもあります。
最後にマーカスとデヴィッドから、店を訪れる人へのメッセージを。
「この店のお客様は、とてもロイヤル(忠実)な人たち。服を気に入ると何度も足を運んでくれます。家に持ち帰ってからディテールの細かさに気づいて、愛着をもっていただくことが多いようです。店ではクラシックでタイムレスな服を購入できます。20年も30年も着続けたくなるアイテムがきっと見つかるはず。私たちはこれからも、男性が外見に自信をつけられるファッションをつくり続けていきます」
写真上から:テーラードジャケット (パンツとセットで)¥168,000
Marcus Wainwright マーカス・ウェインライト
David Neville デヴィッド・ネヴィル
ともに英国Wellington Collegeの同級生で2002年、アメリカにて「ラグ&ボーン」をスタート。2005年からレディスを展開し、2010年にアメリカ「CFDAメンズウェア部門大賞」受賞。同年10月、東京に海外初の路面店をオープン。
rag&bone the Omotesando Store
東京都渋谷区神宮前5-12-3
TEL 03-6805-1630
営業時間 : 12時~20時
定休日 : 月曜
問い合わせ先/Pred PR TEL : 03-5428-6484
rag&bone http://www.rag-bone.com/
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