オンでもオフでも活躍する、「ハイブリッド」なシューズ(前編)

  • 写真:尾鷲陽介
  • 文:小暮昌弘
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クラシックなアッパーに歩きやすいソールを組み合わせた機能派ドレスシューズが、いま注目を集めています。

「ディオール オム」は、未来的なソールをもったデザイナーらしい一足

クリス・ヴァン・アッシュがデザインする今シーズンの「ディオール オム」のコレクションは、限られた色とシャープなシルエットが大きな特徴でしたが、ランウエイで登場した代表的な靴がまさに、ハイブリッドなイメージでデザインされたものでした。黒のダブルモンクのアッパーに白のソールを組み合わせたモデルは、ソール全体がクリアなプラスチックで覆われたフューチャリスティックなデザイン。ストラップに使われているバックルはコートなどをウエストマークするのに使われたベルトの金具と同じものです。シルバーの光沢あるバックルで、ワンタッチで着脱が可能です。こういったディテールに美意識を感じさせるところも、ディオール オムらしさといえます。アッパーに使われているのは光沢あるカーフスキンで、モンク部分や履き口には繊細なダブルステッチが入り上質さが感じられますが、それ以上に目を惹くのはやはり、このソール。白ソールを覆う透明なプラスチックが、唯一無二の存在感を与えています。
左:ヒールまで延びたクリアなプラスチックソールが独特。土踏まず部分もプラスチックで覆われている。 右:ベルトに使われるメタルバックルを靴に採用しているところにモダンさを感じる。

モンクストラップシューズ¥136,500/ディオール オム(クリスチャン ディオール)
問い合わせ先/クリスチャン ディオール TEL:0570-200-088

ラグジュアリーな佇まいのなかにスポーティさをプラスした「ジョルジオ アルマーニ」

「ミラノの帝王」として、エレガントなスタイルのなかに常に革新的なアイデアを演出する「ジョルジオ アルマーニ」。「MEN’S PROJECT」と名付けられた今シーズンは、スポーツウエアとクラシックなメンズウエアという、相反する美意識を見事にまとめあげたコレクションを発表しましたが、この靴もそのテーマを象徴するモデルといえます。「Dress Snyker」とネーミングされた靴で、モンクストラップのアッパーデザインに、スニーカー的なラバーソールが組み合わされています。しかもアッパーの素材は、カーフとクロコダイルの型押しプリントがコンビネーションになったもので、ストラップも太く、グラマラスな印象を与えています。つま先が跳ね上がったソールは分厚く、クッション性も抜群。カラーは洒落たレンガ色なので、カジュアルなスタイルはもちろんのこと、ジャケットやスーツスタイルにもコーディネートできます。ジョルジオ アルマーニらしい、シックなハイブリッドシューズといえるでしょう。
左:スニーカー同様の形状を持つオリジナルのソール。シックな色合いがアッパーのレザーにマッチする。 右:ウイングチップのデザインに個性を与えるクロコダイル模様のプリント。

ウイングチップスニーカー¥89,250/ジョルジオ アルマーニ(ジョルジオ アルマーニ ジャパン)
問い合わせ先/ジョルジオ アルマーニ ジャパン TEL:03-6274-7070

鮮やかなブルーのソールが、「セルジオ・ロッシ」のこの靴のアイコン

「セルジオ・ロッシ」は、イタリアを代表するブランドです。洗練されたセクシーな靴は女性たちから圧倒的な支持を得ていますが、メンズシューズのコレクションも多彩で、オーソドックスなオックスフォードシューズやブーツからスニーカーまで幅広く展開しています。カラーソールのハイブリッドシューズを手がけたのは早く、今シーズンも「EASY OXFORD BROUGUE」というモデル名のウイングチップシューズが発表されていますが、このソールが強烈です。鮮やかなブルーで、ベーシックなブラウンにこの色を合わせるところがセルジオ・ロッシらしいセンスといえます。カーフのアッパーは、メダリオンまでのアッパー部分は光沢あるレザーを使い、ほかの部分は艶消しのレザーを組み合わせるという、非常に凝ったデザイン。クラシックなデザインに素材でひと味加えているところも、このブランドらしいこだわりではないでしょうか。
左:上から見るとアッパーの革を使い分けていることがわかる。ソールに入ったステッチまでブルー。 右:クッション性に富んだラバーソール。ソールにはロゴマークも刻印されている。

ウイングチップシューズ¥85,050/セルジオ・ロッシ(セルジオ・ロッシ カスタマーサービス)
問い合わせ先/セルジオ・ロッシ カスタマーサービス TEL:0570-016600

「トッズ」のハイブリッド靴はドレススタイルに絶好

イタリアの靴の産地、マルケ州に本社とファクトリーを持つ老舗ブランドの「トッズ」。「ゴンミーニ」と呼ばれるドライビングシューズは、ソフトなアッパーにラバーペブル(ゴム突起)を備えた名品といえますが、ドレスシューズもラバーペブルのソールを採用して、ハイブリッド的なデザインに仕上げています。モデル名は「クオイオゴンマRS」で、デザインは英国調の雰囲気を持つセミブローグタイプ。アッパーの素材は、アンティーク加工が施されたブラウンカーフで深い色合いを感じさせます。ソールはレザーとラバーを重ね合わせていますが、ラバーペブルが付いていますので、滑りにくいのはもちろんのこと、クッション性も十分にあります。一見すると一般的なレザーソールの靴のように見えますので、スーツなどのドレススタイルにもコーディネートできます。フォーマルなルックスをキープしながら、快適さと柔軟性をプラスしているところが、トッズらしいデザインワークと感性といえます。
左:アンティーク加工が施され、独特の味を感じるアッパーのレザー。 右:ソールに付いたラバーペブルはトッズのアイコンだ。レザーソールを間に重ね合わせているところも靴の老舗らしいこだわり。

ストレートチップシューズ¥72,450/トッズ(トッズ・ジャパン)
問い合わせ先/トッズ・ジャパンTEL:0120-102-578

オンでもオフでも活躍する、「ハイブリッド」なシューズ(後編)