「トラベラーズノート」の英国デザイナー版特別セットで慈しむ、散歩と手帳のある暮らし

文:高橋一史

1980年代に海外製品が輸入され一大ブームを巻き起こしたシステム手帳は、人々を新しい生活に導く革新的なツールだった。個人が好きなようにリフィルを足して組み上げるこのツールは持ち歩く机であり、もうひとつの頭脳でもあった。モニタで読む電子書籍がポピュラーになった現代でも紙の本を好む人がいるように、書き入れたときの感情をも内包するアナログ手帳は、単に記録する役割以上の価値を持つ。スマホでは置き換えられない心の拠りどころがある。 パソコンが急速に家庭に広まった時期の2006年に誕生した日本の「トラベラーズノート」は、名の通り旅に出たくなる軽快なシステム手帳である。金属のバインダーがつかない一...

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