伝統技法を現代に継承する、魅惑のスケルトン

文:並木浩一

フランクミュラーは、稀代の時計師が自らの名前を掲げるブランドだ。美観に目を奪われる時計が、機械としても群を抜いている。そうした腕時計ファンの理想を象徴するような「ヴァンガード7デイズパワーリザーブスケルトン」に、鮮やかなニューカラーがこの夏、登場する。 そもそもスケルトンは、歯車など時計のさまざまな部品を支える地板とブリッジを肉抜きし、骨組みを残して視線を透過させる伝統技法だ。言うまでもなく軽量化はされるが、性能や現世的な目的のためではなく、視覚的な美しさを引き出していくいわば引き算の作業である。 いっぽうフランクミュラーはその技法を再検討し、ゼロから構想した。既存の腕時計をモディ...

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