好対照を描く、機械式のレガシーとデザイナーズの前衛。

文:並木浩一 写真:宇田川淳

ラドーの魅力は両義的だ。ひとつは超・未来志向のマテリアル、コンセプチュアルなデザインの最先端コレクション。もうひとつは、脈々とつくり続けられる60年代デザインの機械式腕時計である。 往年の名作防水時計をオリジナルにもつ「ラドーキャプテンクックオートマティック」は後者の新作だが、手が伸びる理由はレトロスペクティブなスタイルだけではない。誕生から50年をゆうに数えるボディに、“その間の進歩”をラドーは載せているのである。62年のリリース時にはアクリル製だったガラスは、両面反射防止コーティングを施したクリスタルを難度の高いボックス型に成形した。回転式ベゼルには86年に導入された、高耐久性のハ...

続きを読む