新進のフレンチシェフが贈る、和の風味あふれる穴子のフリット

写真:尾鷲陽介 文:岡野孝次

2020年7月にグランドオープンした日本橋兜町のレストラン「ネキ」。前菜メニューを眺めれば、「穴子のフリット/焼き茄子/カラスミ」に目が留まる。江戸前料理を代表する食材・穴子と焼き茄子の組み合わせは、フランス料理では珍しい。夏が旬の穴子は脂が控えめで後味もあっさり、存分に身のおいしさを堪能できるが、ここに生クリームとバターを加えて煮詰めた焼き茄子ソースのコクと香ばしさ、カラスミの凝縮された塩味が押し寄せる。その旨味の応酬にたまらず、ペアリングされたワイン「キュヴェ・クリント」をあおれば、ベリー感のあと、ほのかに梅じそに似た余韻も。新進のフレンチシェフが贈る、和の風味あふれるひと皿だ。 ...

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