フォトエッセイ:いますぐ服を着替えたくなる、5つのストーリー

構成・写真・文:高橋一史

はじめに。 “年相応” という言葉がある。大人のファッションについての記述でよく目にする言葉だ。若い頃はこの年相応を「年齢を重ねたら、落ち着いた紳士的な装いをするべき」という意味に解釈していた。ところが自身がその対象の年齢になって久しい2021年現在、この言葉を別の意味に捉え直す必要性を感じている。すなわち年相応とは、「変わってしまった顔や体型に合う服を、過去の自分から離れて新しく探すべき」という意味であると。 バイト収入をすべて服に注ぎ込んでいた20歳前後のとき雑誌で読んだ著名人2名のインタビューを、いまだによく思い起こす。ひとりは当時賛否両論だった、前衛的な若き舞台演...

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