ネットと中古品の親和性から若林 恵がひも解く、ファッション市場の新たなシステム
インターネットは中古品と相性がいい。1対多数のビジネスであるマス生産・マス消費プロダクトは、トップダウン・中央集権的な流通機構を用いたほうがはるかに効率がいい。一方のインターネットは、1対1=P2Pのビジネスを得意とするものだ。そこでは、たとえ同じ商品であっても来歴も価格も1点1点異なる中古品のほうがその技術的ポテンシャルに適っている。同じ古本でも初版に5000円を求める人もいれば、汚れていてもいいから100円のほうを買う人もいる。中古市場は、一つひとつの物体を、それ自体ユニークな個別のアイテムへと転換する。アマゾンが古本のマーケットから始まったことは、いまにして思えば象徴的だ。中古マ...
続きを読む