『フィンランド陶芸』展で、北国の詩情を感じる知られざる陶器を目撃せよ。

文:佐藤千紗

連日、酷暑が続く東京で避暑を求めるなら、目に涼やかな『フィンランド陶芸』展はいかがでしょうか。場所は公園の緑の中に佇む目黒区美術館。のどかな屋外プールを横目に館内に足を踏み入れると、ひんやりなめらかな陶器が静かに迎えてくれます。 フィンランドと日本の国交樹立100周年を記念した同展では、19世紀末のアーツ&クラフツ運動に影響を受けた黎明期から1950〜60年代の黄金期まで、フィンランドのモダニズム陶芸を体系的に紹介しています。特徴的なのは、これまで日本で注目されてきたプロダクトデザインとしての器ではなく、作家の芸術表現に光を当て、美術工芸品として紹介していること。実用的な食器だけでな...

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