自身のルーツも社会問題もあぶり出す“ミス・アメリカーナ”、テイラー・スウィフト

文:岡村詩野

2020年の海外の音楽シーンにおけるMVPのひとりは間違いなくテイラー・スウィフトだった。6月に突如配信で(のちにCDやレコードでも)リリースされた『フォークロア』というアルバムこそは、彼女のソングライターとしての素地を見事に浮き彫りにした大傑作であり、アメリカ人としてのアイデンティティ、あるいは民族的ルーツに立ち返った重要な一作だった。12月半ばにその姉妹アルバムとも言える『エヴァーモア』も発表。海外メディアもこぞって、そんなテイラーの2020年の活躍を讃えている。 また、2020年は例年以上にアナログ・レコードが売れた年でもあった。特にクリスマス前の約1週間(12月11日~...

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