まるで現代版『ねじ式』のような、底知れぬ吸引力をもつファンタジー映画『シェル・コレクター』

決してわかりやすくはないからこそ底知れぬ吸引力があって、何度も観たくなってしまう。『シェル・コレクター』のような作品に触れると、日本映画の懐の深さを感じて、うれしくなってしまいます。 主人公は貝の美しさに魅了され、沖縄の離島で暮らしている盲目の貝類学者。海辺を歩いて貝を拾い上げては住処である小屋に持ち帰り、ひとつひとつを愛でるように中身をかき出し、磨いていく。彼が使っているものは拷問の道具のようにも見えるし、優秀な医者の手に馴染んだ手術の道具のようにも見えます。俗世との関わりを断とうとしているような彼の穏やかな日々が変わりはじめるのは、島に流れ着いた女性を助けた日から。世界で蔓...

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