撮れないなら、下衆になってしまえよ。映画界底辺の人間模様を描く『下衆の愛』をいま見るべき理由とは。
下衆。なんだかすごい言葉です。ヤフーでググってみると、<品性が下劣なこと。また、そのような人やさま>。人を蔑む言葉の最たるもののように感じてしまいますが、まあ登場人物たちのダメっぷりといったら。その下衆の極みが、主人公の映画監督テツオです。ずいぶん前に獲った映画賞が自信の拠り所で、商業映画なんて面白くないと卑下していますが、実際は泣かず飛ばず。そのくせ、女優をとっかえひっかえ自宅に連れ込む(しかも実家に)自堕落な生活を送っています。粗野でセコくて、性欲で動いているようなテツオの周りにいるのも、立場をちらつかせてセックスしようとする男たち、色目を使って役を得ようとする女優などなど。そんな...
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