「原爆堂」を知っていますか?  建築家・白井晟一の遺した、未完の建築が放つメッセージとは。

文:阿部博子

親和銀行本店、松濤美術館、ノア・ビル、浅草善照寺本堂、虚白庵(こはくあん)などの代表作で知られる建築家の白井晟一(しらい・せいいち)。彼が1955年に発表し、幻の建築として語り継がれている「原爆堂」計画をご存じでしょうか。 このプロジェクトに焦点を当てた展覧会『白井晟一の「原爆堂展」 新たな対話に向けて』が、東京・青山のGallary5610にて2018年6月30日まで開かれています。 1954年、ビキニ環礁沖で水爆実験の犠牲となった第五福竜丸事件に衝撃を受けた白井は、広島・長崎の惨禍に向き合い、自発的に原爆堂計画を発表。人類が手にした核が引き起こす制御不能な局面を見つめ、共存への願...

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