作家の魂を守りながら、愛をもって書き続ける。

文:今泉愛子

作家、翻訳家として活躍する松田青子が、初の長編小説『持続可能な魂の利用』を上梓した。環境問題を考える時に使われることが多い「持続可能」という言葉を用いたタイトルには、どんな意図があるのだろうか。 「人の魂も、資源と同じで減ることもあると思ったんです。特に女性は、社会的な位置付けからしても不利な部分があります。理不尽なことがあっても持続可能な自分を維持するためにはどうすればいいのか、と考えました」 松田はこの作品で、日本の女性が「おじさん」に蹂躙されている状況を描いた。数年かけて執筆する間に、日本社会の変化を肌で感じたという。 「あまりにも不条理に思えるニュースを目にする機会が増え...

続きを読む