文化と社会の関係性を、当事者の目線で書く。
磯部涼 の『ルポ 川崎』は、2017年末の発売から着実に売れ続け、10刷に達した。近年のノンフィクション作品では、異例のヒットと言える。 「雑誌『サイゾー』で、最初は全国の不良少年について書く連載を予定していたのですが、事件があったことから川崎に限定したほうが濃密なものが書けるのではと思ったんです」 事件とは、2015年に起きた川崎中1殺害事件だ。多摩川の河川敷で中1の男子生徒が顔見知りの少年たちから刃物で幾度も切りつけられ落命した事件は世間を震撼させた。磯部はその川崎で生きる少年少女を取材し、連載「川崎」を執筆。その後、加筆して上梓したのが『ルポ 川崎』だ。 磯部の言う川崎は...
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