Vol.38 ページをめくるほどに衝撃を覚える、アニッシュ・カプーアのアート

アニッシュ・カプーアの作品と対峙した時、これまでに体験したことのない強い衝撃を受けたことを、いまでも鮮明に憶えています。金沢21世紀美術館でのこと。コンクリートの部屋に足を踏み入れると、空間の一部を占める黒い円の存在に気付きます。なにげなくその場に身を置いているうちに、いつしか吸い込まれるように、そこから動けなくなっていました。涙があふれていることを自覚した時には、随分と時間が経っていたようです。「人間が考える尺度では到底計れないような、果てしなく大きな存在を感じさせるもの」。それ以来、彼の作品に対してはこうした印象を抱いています。 カプーアの芸術をよく知ることができる一冊を挙げるな...

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