Vol.36 「なぜなら」という言葉から探り当てる、ソフィ・カルの作品集の試み。
ソフィ・カルは、きわめて日常的かつ私的な営みをベースに、写真や言葉を通じた物語性の高い作品を制作しています。記録と記憶を頼りに、真実と虚構のはざまを行き来する表現は、一見捉えどころがないようですが、彼女の内面に潜む痛烈な想いとして突き刺さるように伝わってきます。 2018年10月から12月にかけて、現代美術ギャラリー「ペロタン」のパリのスペースでカルの個展が開催されました。展覧会はふたつの新しいシリーズで構成されており、そのうちのひとつは『Parce que』(日本語で「なぜなら」の意)と名付けられています。本作は、白い糸で文字が刺繍された黒い布が、額にカーテンのように覆いかぶせられて...
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