Vol.31 道端のタバコを芸術として見せた、アーヴィング・ペンの写真集。

 広告と芸術の2分野に親和性がありながら、その間には深い隔たりのある写真の世界。この境界線を越えて活躍した写真家のひとりに、アーヴィング・ペン(1917~2009年)がいます。彼は1934年から美術学校に通い始め、ちょうど同年から『ハーパース・バザー』のアート・ディレクターに着任したアレクセイ・ブロドヴィッチに師事しました。ブロドヴィッチといえば、リチャード・アヴェドンなど数多くの写真家たちを見出した重要人物です。そのブロドヴィッチに学んだことは、彼にとって大きな糧となったのではないでしょうか。卒業後はイラストレーションを手がけたこともありましたが、すぐに写真の才能を開花させ、ファッシ...

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