Vol.29 紙の「違和感」を逆手に取った、トーマス・ルフの展覧会図録。
読書では、本を手に取ってページをめくる触覚と視覚による刺激があり、それによって読者は記述されている情報以上のものを受け取ります。この刺激は本のデザインや、使われている素材、印刷の再現度などが組み合わさって構成されていますが、その中でも印象を大きく変えるのが紙です。紙は触覚に作用し、また印刷の再現性にも影響するので、制作者が最もシビアに検討する要素のひとつでしょう。 写真を主とするアートブックの制作にあたっては、オリジナルプリントの再現を追求する刊行物もあります。もちろん、アートブックのクオリティにおいては重要なポイントのひとつですが、再現性に固執してしまった結果、ブックデザインと紙の...
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