『アイヌモシㇼ』の福永壮志監督が、故郷・北海道を舞台に描きたかったこととは?

文:久保玲子 写真:奥山智明

今年の直木賞に輝いた川越宗一の小説『熱源』や、コミック『ゴールデンカムイ』は、蹂躙された民族の歴史と文化を掘り起こし、その時代に生きた人間が自らのアイデンティティと格闘する姿を描いて人気を博している。また北海道白老町に国立アイヌ民族博物館をはじめとした文化施設「ウポポイ」がオープン、自然と共生するアイヌ文化への関心も高まっている。 そんななか、阿寒湖のアイヌコタンに生きる14歳の少年の自我の目覚めを描いた映画『アイヌモシㇼ』が公開される。アイヌは「人間」、モシㇼは「国」の意である。父を亡くし、阿寒を離れたいと願う少年カントの成長とともに描かれるのは、大きな注目を浴びるなかでいまを生き...

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