牛肉麺から北京ダックまで、食を通して知る古きよき中国。

中国では古来、「民は食をもって天となす」と言われてきた。それほど食が重んじられるという意味だ。いまも食を愛する精神は変わらず、「網紅菜」(バズる料理という意味)など新しいトレンドは次々と生まれているが、本書は流行とは一線を画す。そもそも書名とは裏腹にグルメ本でもなければ辞典でもない。食を窓口として、古きよき中国の生活を描くエッセイ集だ。 山東の鮁魚餃子(サワラの餃子)、天津の嘎巴菜(あんかけの細切り緑豆クレープ)、北京の冰棍児(アイスキャンディー)など、郷土料理や懐かしい菓子から肉まんや羊のしゃぶしゃぶ、北京ダックなどの有名料理まで、約80種の料理が家、街角、レストランと食べる場所で大...

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