ひたすらに国民を守った、ノルウェー国王の究極の決断。

文:増田ユリヤ

民主主義とは素晴らしく、また恐ろしいものだ。ただひたすら、ノルウェー国民を思って行動した国王ホーコン7世。一方、ナチス党首として一党独裁体制を確立し、ユダヤ人虐殺と戦争への道を突き進んだヒトラー。ふたりの共通点、それは国民による投票で選ばれたということだ。  しかし、大衆の熱狂によって誕生した独裁者ヒトラーとは対照的に、20世紀初頭のノルウェー独立に際し、デンマークから国王としてやってきたホーコン7世は、温かな拍手と笑顔で迎えてくれたノルウェー国民のことを決して忘れない。中立国であったノルウェーを侵攻するなど本来あり得ないことだが、それを実行したヒトラーに最後まで屈することはなかった...

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