アイデンティティの葛藤を経て、ついに見つけた自らの場所。

文:佐藤 渉

KOJOEは、自身の揺れ動くアインデンティティを一貫してテーマにしてきたラッパーだ。転勤族の家に生まれて日本を転々とし、17歳で渡米。NYクイーンズの黒人コミュニティの中で胸いっぱい呼吸し、やがてラッパーとして頭角を現す。帰国後の2012年には、米のスターラッパーをゲストに迎えたファースト・アルバム『MIXEDIDENTITIES 2.0』を発表。日本のラップシーンに少なからぬ衝撃を与えた。 ハスキーだがこもらない声質と、英語と日本語を自在に横断するラップ・スタイルは、当時から既に完成されており、翌年のセカンド『51st State』(=51番目の州)でもそのスキルを十分に堪能できる...

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