ポップながら重力のある演奏で、ジャズの新たな方向を示す。

文:中安亜都子

デビッド・ボウイの遺作『★』はマリア・シュナイダー、マーク・ジュリアナらニューヨーク発のジャズの精鋭を起用したことでも話題を集めたが、そのなかでも、もっとも大きく貢献したのがサックス奏者のダニー・マッキャスリンだ。その彼の新作『ブロウ』は、長年彼が培ってきた新しいジャズに向けたエネルギーと、ボウイとのレコーディングで得たインスピレーションが新たな創造性を生み出し、一気に結実したことを思わせる。   すでに複数枚のリーダー作をリリースしているが、ここで心機一転、ボーカルを4人起用し、ストレートなジャズを予想するリスナーの期待を気持よく裏切っている。歌が入ったことでこれまでの作品に感じられ...

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