甘く儚げな詩情を添えて描く、トルーマン・カポーティの光と影。
【Penが選んだ、今月の観るべき1本】 このドキュメンタリーは、戦後アメリカを代表するセレブ作家にして稀代の奇人、トルーマン・カポーティの人生全域を濃厚に網羅する。全体の構成としては、未完とされる謎多き問題作『叶えられた祈り』をめぐるミステリーとも捉えられるのではないか。 内容はジョージ・プリンプトンによる評伝本『トルーマン・カポーティ』の執筆に際した貴重な取材テープを基にしている。まるで『市民ケーン』や『羅生門』のように、さまざまな関係者が回想する認識のズレも含め、カポーティの人物像がポリフォニック(多声的)に浮かび上がるさまが興味深い。 カポーティが集大成のつもりで取り組...
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