通りや番地で場所を示す住所は、 どうやって決まったのか?

文:今泉愛子(ライター)

【Penが選んだ、今月の読むべき1冊】 日本のほとんどの建物には住所があり、行きたい場所へは住所を手がかりにたどり着ける。だがそれは、当たり前のことではない。世界にはいまも所有権が定まっておらず、住所を定めることができない土地がたくさんある。そういった土地は課税もできなければ、もちろん売買もできない。 その事実を知った著者は、世界の住所事情に興味を抱き調査に乗り出した。古代ローマでは、神殿や門、丘などの視覚情報と、魚市場や排泄物などの嗅覚情報、鍛冶屋の音などの聴覚情報が位置を示す指標になっていた。 やがて世界の各都市で通りに名称が付き始め、さらに建物ごとに番号が振られて住所が...

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